エンターテインメント

50年前の超人気番組『ストロンガー』→『ゴレンジャー』が実現したわけとは?

2025-04-04

著者: 蒼太

戦隊を生み出した要因のひとつ「腹部転の解消」とは?

半世紀前の1975年4月5日、ふたつのTV特撮番組の放送が開始されました。そのひとつは『仮面ライダーストロンガー』、もうひとつは『秘密戦隊ゴレンジャー』です。2025年現在、それられれ名作シリーズの一作品として知られるこれらには、意外な背景があったのです。

1975年当時、関東圏などでは土曜日19時から毎日放送系列で『ストロンガー』、その終了直後の19時30分からNET(現在のテレ朝)系列で『ゴレンジャー』が放送されています。よく知られた共通点としては制作が東映、原作者は石ノ森章太郎(後に石ノ森章太郎へと改名)という点になります。

また、この2作品にはそれ以上に密接な縁がありました。それを説明するためには当時のTV局事情、「腹部転」と呼ばれた状況について触れなければなりません。

ここで言う「腹部転」とは、ネットジャンルの背景となったものです。「ネットジャンル」は簡単に言えば、番組を放送するTV局が変更されることになるでしょう。実は当時、関東圏と関西圏の一部の放送局は、現在の放送ネット制とは違っていました。これを整理したのが「腹部転の解消」と呼ばれたものです。

これにより人員の特集番組だった『仮面ライダー』シリーズは、それまでの関東圏ではNETでの放送が行われていましたが、腹部転が解消された1975年4月からは毎日の放送が関東圏のネット局のTBSへと移ることになりました。

これはまさに前から決まっていたことであり、そのため前番組だった『仮面ライダーアマゾン』は延24話という短命で放送が終了しました。その理由は、作品の途中でTV局が変わることで視聴者が混乱することを防ぐためでした。

そういった事情から『仮面ライダーストロンガー』は、今までの19時半から19時に放送時刻が移動するということになりました。ちなみに当時のTV局事情として、視聴率競争が激しい環境においてもありましたので、その事情も大きな影響を及ぼしたでしょう。

このような状態の中で、NETとしては新規の作品を取り入れなければならなかったため、TBSには『お笑い頭の体操』(TBS)という人気クイズ番組が存在し、『仮面ライダーストロンガー』シリーズがよく盛り上がるひとつの要因となりました。特にこの視聴率競争の中では『ストロンガー』シリーズがそのまま第1号として呼ばれる『ゴレンジャー』だったわけです。

これに対しNETとしても、新たな作品である『ストロンガー』の視聴率を向上させるためには、視聴者からの反響を確保することが必須の状況となりました。したがってこの作品の放送時間から視聴者の関心を引くための調整がなされたのでした。

そのため『ストロンガー』と『ゴレンジャー』の放送は、全く異なる背景を持っているにもかかわらず、実は密接に関連していたということが分かります。これらの制作は単なる偶然ではなく、当時の時代背景や視聴者の反応に深く根ざしていたことの証明でもあるのです.