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アングル:中国にも「働き方改革」の影、長時間労働改める企業も

2025-04-12

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中国の状況と企業の変化

深夜まで働くことが常態化していた中国の企業現場にも、ついに変革の兆しが見え始めている。最近、ある企業では午後6時10分に退社を求める通知が出され、従業員たちは新たな働き方に適応すべく奮闘している。同じ企業が導入した公式アプリでは「あなたのライフスタイルはどうですか?」という質問が投げかけられ、その回答によって音楽が流れるなど、従業員の心身の健康を重視する姿勢が伺える。

変わりゆく労働環境

少なくともここ15年間、中国のハイテク業界では長時間労働が当たり前だった。多くの企業が「996」(朝9時から夜9時、週6日勤務)の文化を根付かせていたが、最近になってその考え方が見直されるようになってきた。「早く帰りたければ、仕事を効率よくこなそう」という新しい習慣が広がる中、デジタル業界の最大手アリババの創業者ジャック・マー氏が「理想的な労働環境」を提唱し、多くの企業がその影響を受けている。

政府の動きと法改正の兆し

最近の政府の規制強化によって、長時間労働の是正が求められるようになった。北京の労働局は、企業の労働条件改善を促す新たな法律が施行されることを明らかにしており、これに対抗する形で企業側も労働時間の短縮を余儀なくされている。特に3月から施行される新規則は、労働者の月間労働時間を制限し、過度な残業を防ぐための措置を強化する方向で調整が進められている。

変化の波が広がるか

長時間労働に対する反発が強まる中で、企業は従業員のメンタルヘルスを重視するようになりつつある。ただ、その過程における混乱は依然として続いている。中国全体の企業がこの流れに乗るかどうかは今後の状況次第だが、労働環境が改善されることは多くの従業員にとって望ましいということは間違いないだろう。

新しい労働観の確立へ

企業が従業員の働き方に関心を持ち、より柔軟な勤務体系へと移行していくことは社会全体にとってプラスになるはずだ。人口問題や経済成長の鈍化が懸念される中、労働条件の改善と共に、従業員の生産性向上にも寄与するはずだ。中国の未来に向けて、この流れが続くことを期待したい。