北朝鮮で通商暴落、前年比の4分の1に「喧嘩」示す内部文書入り手 | 毎日新聞
2024-11-26
著者: 芽依
北朝鮮のロシア派軍に関心が集まる中、北朝鮮国内では自国通商の悪化が年間の4分の1近くにまで落ち込んでいる。金正恩(キム・ジョンウン)政権が進める国家統制色の強い経済政策に対する住民の不満や不安が、暴落の背景にあるとの見方も多い。
1ドル=8000ウォン→3千ウォンに暴落
「天の底が抜けたようだ」。北朝鮮の貿易関係者は11月中旬、国内在住の知人にこう漏らした。貿易関係者らによると、北朝鮮ウォンの対ドルレートは今年4月頃まで1ドル=8000ウォン程度だったが、夏頃から急落し、1ドル=6000ウォン水準になった。9月には一時下げ止まりを迎えたものの、10月半ばに再び下落を始め、11月中旬には3千ウォンを切ったとされる。
11月の急落が一時的なものかどうかは不明だが、毎日ニュースが伝えた治安部向けの内部文書には「国家のため替レート安定を阻害する各種違法行為との喧嘩に共に立ち上がろう」との呼びかけが記されている。金正恩政権のウォン急落への危機感は、米国との経済制裁や、北朝鮮内での多様な経済活動の制限とも関連していると見られ、住民の生活に大きな影響を及ぼすことが懸念されている。
北朝鮮住民の不満は高まる一方
通商暴落の影響を受け、北朝鮮住民の間では生活の苦しさが増している。物価の上昇に伴い、貧困層や中産階級からの反発が顕著になりつつある。また、生活必需品の不足が一部地域で深刻化しており、特に医療品や食糧の供給が逼迫している状況にある。
「私はこの政府に期待を持てない」と語る住民の声も多く、特に貧困層の生活が圧迫されている。文書の内容は、経済政策がもたらす負担の一端を軽減するための対策が示されているものの、具体的な解決策がないと指摘する声もある。政府の監視が厳しくなっている中、住民は密かにネットワークを通じて情報を交換し、サバイバル術を模索している。
今後の見通しは……?
北朝鮮の経済が今後どのように推移するのか不透明であるが、国際的な制裁と国内の経済状況が絡み合って、混乱が続く可能性が高い。経済政策の変更がなければ、住民の不満はますます高まる一方で、体制の崩壊を懸念する声も少なくない。金正恩政権は、内部からの反発を封じ込めるために何らかの手を打たざるを得ない時期に来ているのかもしれない。