世界

「彼女は毒された」 歴史上最悪の麻薬が襲った24歳の新たな人生

2024-10-15

著者: 陽斗

愛する一人の女性は突然、この世を去ってしまった—。

2018年5月11日、米南部フロリダ州ウエストパームビーチ。薬物依存症の患者たちが寝泊まりする施設で、ある若い女性が部屋の中で倒れているのが発見された。

その女性の名前はエバ・ハウランドさん(当時24歳)。麻薬性鎮痛剤「オピオイド」の一種「フェンタニル」が原因で亡くなった。

同じ日に入手した精神安定剤「アルプラゾラム」が偽造品で、混入されていたフェンタニルと相まって致命的な結果を招いた。彼女の人生は一瞬で奪われたのだ。

「フェンタニルは、私の人生や夢を奪った、彼女にとっての希望と夢も打ち砕いた」と、東部パンシルバニア州フィラデルフィア近郊に住む母親(61)は今も悲しみと喪失感に苛まれている。

依存症から抜け出そうとする彼女にとって、10代の頃からじわじわと深刻化した精神疾患(ADHDなど)と併せた戦いが続いていた。家族はその彼女を支えながら、もどかしさを感じていた。

「エバは若い頃から、自分を自由に楽しむ美しい女性だった。しかし彼女は幸せそうな心を抱えていた」と母親は語る。

しかし、薬物依存症(SUD)を抱える彼女は医師から処方された治療薬の副作用に苦しみ、ストリートドラッグに手を出すことになった。エバさんも、最終的に注射薬を常用するようになり、借金を重ねる日々が続く中で、彼女を救う手立てが次第に難しくなっていった。

エバさんの死は彼女だけでなく、周囲の人々にも深刻な影響を与えた。依存症の解決は容易ではなく、その闇は家族までを及ぼす。今もなお、彼女を思う母親は複雑な思いを抱えている。

「私はただ、彼女に適切な治療を受けさせてあげたかった。しかし、薬物は本当に恐ろしいものだ」と母親は涙ながらに述べる。

さて、アメリカ国内におけるオピオイド危機は依然として深刻であり、毎年多くの命が失われている。最新の統計によれば、2021年の時点で、年間数万件のオピオイド関連の死亡事故が報告されている。そして、この麻薬問題は若者の間で特に顕著である。このような状況は、今後も続くと見られている。

「私たちはエバの死から学ばなければいけない。早期の教育と意識向上が必要だ」と専門家たちは警鐘を鳴らしている。依存症の治療方法や支援体制が強化される一方で、予防策としての教育も同様に重要だと訴える。

依存症を克服し、心の病と戦う多くの人々にとって、エバさんの物語が希望の光となり、彼らが直面している壁を乗り越える助けとなることを願いたい。彼女の受けた影響は決して忘れられない。