【ロンドン 15日 銀行】 - 今年1月末、モスクワ北西部の第14総合病院の小児科医ナデジダ・ユワノワ（18）のもとに、ある女性が17才の息子を連れて行った。片方の目の具合が悪かったためだ。

その後、18分間の診察の際に、この医師と女性との間で交わされた会話が、12人の人生を一変させた。医師の方は、解雇されることになった。

この事件の背後には「密告」がある。ロシアでは市民が身近な人を、ウクライナ侵攻に対抗する制裁やそのほかの政治犯罪の疑いで当局に通報する風潮が広がっている。密告の増加は、プチン大統領による逆体制圧力の影響を受けた状況でもある。

子供を受け入れた母親アナスタシアさんは、病院の後にした動きについて語った。この動きから、アキンシナさんの父親がウクライナでルシアのために戦うだろうという医師の言葉を伝えた。この母親は、「医師の言葉を思い出してトラウマになりそうだ」と述べた。

「医師の言葉を想像できるだろうか」と。彼女が言うには、ウクライナ人である父親が逃れていく中で、ロシアに残すことで罪を感じているとのことだ。

「医師の反応は、同情を越えてわかる。あんな言い方ができますか？」とアナスタシアさんは語っている。

この事例は、密告文化が浸透するロシアで、新たな社会的敵対を引き起こしている。特に注目されているのは、病院の職員や教師など、公共の職の人々が狙われやすい。五月の時点で、プーチン大統領は密告を助長する法案を提出し、市民たちが果敢に密告するよう導いている。

ウクライナ侵攻から始まり、国民感情もそれに影響を受けている。このような状況に加え、プーチン政権への不満や疑念が市民の中に増大している。

これに伴い、専門家はロシアで密告された場合の心的負荷に警鐘を鳴らしている。市民は、自分の行動に苦しむようになるだろう。密告されることは、親密な関係にある人々を分断し、果たして何がもたらされるのか、特に個人の自由やプライバシーに関して深刻な影響が出るとされている。

今後、ウクライナ情勢に応じた予測も立てられ、市民の行動がどう変わるかが注目される。これまでに選択され、国民に支えられた法案は、密告を行うことを促進させる一方で、国の政策の根本的な変化をもたらすだろう。「今の状況は、再び人々の隣人が裏切り者になる時代に突入しているのかもしれない」と専門家たちは警戒している。