独国防相「破壊工作」の見方 バルト海通信網の2か所損壊で欧州6国がロシア警戒で声明
2024-11-20
著者: 蒼太
バルト海で17日から18日にかけて、沿岸の欧州諸国を結ぶ海底ケーブルの損壊が2か所で相次いだ。ドイツの防衛省は19日、「破壊工作」の可能性が強いという見方を示した。
損壊は18日朝、ドイツ北部ロストックとフィンランドの首都ヘルシンキを結ぶ全長約1100kmのケーブルで確認された。フィンランドの運輸会社が通信障害が起きたと発表した。リトアニアとスウェーデンの間のケーブルも損壊したことが確認された。リトアニア公共放送によると、17日に切断されたとみられている。周囲のインターネットに不調が出たという。
フィンランドのリュッセル大臣は19日、ドイツのEU関連閣僚会議の直前、記者団に「ケーブルが偶然に切れるとは考えられない。航空船のいかりのせいで切られた可能性も考えにくい」と述べ、「誰の仕業かは分からないが、破壊工作であることを考慮すべきだ」と警戒を強めた。
欧州では、ウクライナ侵攻を強めるロシアの脅威が増しており、19日には独、イタリア、スウェーデン、ポーランドの6カ国が共同声明を発表。"EUや北大西洋条約機構(NATO)に対するロシアのハイブリッド行為(攻撃)はかつてない規模に達しており、安全保障の重大なリスクを招いている"とし、進展を報じた。
一方、スウェーデン公共放送は、破壊したケーブルの近くを中華商船が通過したことが分かり、捜査当局が関連を調べていると報じた。
バルト海では近年、海底インフラの損壊事件が相次いでいる。昨年秋にはスウェーデン−エストニア間の通信ケーブルが破壊され、22年にはドイツ−ロシア間のガスパイプラインが爆破され、周囲各国が捜査を行った。これらの事件は全て、地域の安全保障への影響が懸念されている。特に、ロシアの動向が常に注視されており、国際的な緊張が高まる中、新たな事件の発生が懸念される。冷戦後のロシアの対外政策に警戒感が募る。