健康

非動脈性前部虚血性視神経症のリスクが上昇

2025-03-19

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非動脈性前部虚血性視神経症(NAION)は、視神経の虚血により視野喪失や視力低下を引き起こす病状です。最近の研究において、セマグルチドの使用がNAIONの発症リスクを高めるとの報告があります。このリスクは、2022年に発表されたデータでも確認されており、医療界からの注目が集まっています。

調査では、約371万人の2型糖尿病患者を対象に、セマグルチドと他のGLP-1RA(グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬)の使用状況を分析しました。その結果、セマグルチドを新たに使用した患者でNAIONの発症が観察されたことが判明しました。

具体的には、2つの研究対象群を比較し、その中でGLP-1RAやSGLT2阻害薬を使用した患者同士のリスクを調査しました。全体では、セマグルチドを使用している患者におけるNAIONの発症リスクは、他の薬剤と比較して有意に高いことが示されました。

NAIONの発症リスクは、特に高齢者において顕著で、10万人あたりの年率で表すと、セマグルチドを使った患者でのリスクが14.5倍にも上ることが示されています。また、高特異度モデュールについても、NAIONの発症率が高まるという傾向が見受けられました。

この研究に関わった医療従事者たちは、NAIONと使用する薬剤との関連が明確でないことから、今後のさらなる研究が必要だと述べています。患者の視力を保護するため、医師はGLP-1RAの処方に慎重になり、リスク評価を行うことが重要です。

さらに、糖尿病治療に使われる他の薬剤—SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、SU薬など—については、NAIONの発症に関して特に有意な差は見られなかったとのことです。これにより、セマグルチドの使用が特異的に関連することが強調されています。医療現場では、引き続き患者への情報提供とともに、薬剤選択を行う際には注意が必要です。とくに視覚に関わる疾患に影響を与えうる薬剤については、リスクとベネフィットを慎重に比較しなければならないでしょう。