健康

「富士山」に登って、「急性高山病」にかかる人とかからない人の「違い」はなんなのか(石田 強)

2025-03-28

著者: 結衣

登山は健康に良いが、高所では急性高山病に注意が必要

この新型コロナ禍の前までは中高年者、特に女性を中心に登山がブームになっていました。総務省によると登山・ハイキング人口は1100万人前後で推移し、60歳以上では多くの人が登山を楽しむようになっています。

山に登ると、ある時間長く過ごす(運動する)ことになるので、持久力トレーニングになりますし、荷物を背負い、山道・崖を登ることは筋肉をよく使うので持久力トレーニングにもなります。つまり、持久力トレーニングと筋力トレーニングが一度にできるので、一石二鳥です。それに登られたら景色が良く、森林浴になる、達成感もあるので、ストレス発散やリフレッシュにもなります。登山やハイキングは心身の健康に良いのは間違いありません。

一方、登山は危険で、身体に悪いこともあります。警視庁によると、ここ数年は遭難件数が全国で年間1200件、遭難者は3100人程度(死者・行方不明310人程度)とも言われています。

標高2150mを超えて低酸素になると、身体が酸素不足を感じ、さまざまな症状が出ることがあります。急性高山病(Acute Mountain Sickness)、頭痛、吐き気、食欲不振、疲労感、息切れ、動悸、持続的な高地頭痛は高山病の主な症状です。日本では高山病や高地頭痛まで悪化することは少ないですが、海外の高地登山では15~20%の人が、30~50%の人が発症すると言われています。特に標高3500m以上では急性高山病の発症確率が増加します。

そのため、登山をする際には体調を整えておくこと、徐々に高所登山を行い、十分に休息をとることが大切です。また、山の環境は厳しいため、富士山などの高い山に登る際には急な登山を避けて、十分な水分補給と食事をして体力を維持し、高山病の危険を減らすことが重要です。大勢の登山者が集まる富士山では、体調に気を付け、それに加えて人との接触を減らすことも考慮する必要があります。

登山後は症状が改善されることが多いですが、無理は禁物です。特に筋力が低下している高齢者や持病のある方は、体調に注意しながら登山をするべきです。又、登山前に心肺機能の問題や持病がある場合には、医師の相談を受けることをお勧めします。安全で楽しい登山を目指しましょう。