骨粗鬆症と肥満の関連を新たに追加、5年ぶり改訂の食事摂取基準2025
2024-11-24
著者: 裕美
厚生労働省は先月、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」を公表した。この基準は国民の健康の維持・増進や生活習慣病の発症予防に向け、食事に関するエネルギーや各栄養素の摂取量について、性別・年齢別・ライフステージ別(妊婦・授乳婦、高齢者)にまとめたものであり、5年ごとに改訂されている。
今回の改訂では、今春に始動した「健康日本21(第3次)」の方針である「生活習慣の改善」「生活習慣病の発症予防・重症化予防」「生活機能の維持・向上」を踏まえ、新たに骨粗鬆症とエネルギー・肥満・各肥満要因との関連が盛り込まれた。また、骨粗鬆症予防に向けたエネルギーや栄養素の摂取量の目安についても、基準が改正された。
骨粗鬆症に関する重要ポイント
以下は、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」における「骨粗鬆症」の項目でまとめられた、関連肥満要因に対する現時点での見解や注意点。
カルシウム
十分なカルシウム摂取量は骨密度の維持に必要であり、カルシウム摂取量が少ないことは骨密度のリスク因子となる。しかしながら、カルシウム摂取量が多いことは低骨密度のリスクにおいては、特に中高年において相関が見られない。したがって、特にサプリメントを用いた研究は多く、特に1,000 mg/日以上のカルシウムサプリメントを用いた場合の心筋梗塞のリスク上昇が報告されている。このため、サプリメント摂取については慎重に行うべきだ。
ビタミンD
ビタミンDの不足は、血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を20 ng/mL以上に保つことが、骨粗鬆症予防の観点から重要とされる。しかし、サプリメントによる介入研究の結果を含めても、ビタミンDの追加による骨粗鬆症リスクの低減効果については、今後の調査が必要である。食事からのビタミンDの摂取を多く行うことが望まれる。
タンパク質
タンパク質の摂取量は骨粗鬆症の予防に関わる重要な要素であり、不足の回避が重要であるが、現時点では骨粗鬆症の予防の観点から、タンパク質の摂取量の影響についての一定の結論を出すことは難しい。
エネルギーバランス
骨粗鬆症の予防や骨折リスクの低下のためには低体重は回避されるべきだ。BMIが25 kg/m2以上における骨折リスクには、部位や性別によって異なることが考慮されるが、いずれにせよ体重の維持が重要である。さらに、高齢者の骨粗鬆症の発症に対する生活者の意識は低く、厚生労働省の調査によると40〜70歳の女性の骨粗鬆症関連検査受診率はわずか5.4%にとどまる。国は受診率を15%にまで引き上げることを「健康日本21(第3次)」で提唱しているが、道のりは厳しい。
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