科学

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた“おとめ座”のレンズ状銀河「NGC 4694」

2024-10-01

「おとめ座(乙女座)」の方向約5400万光年前の銀河「NGC 4694」です。ぽんやりと輝くNGC 4694には渦巻腕(渦状腕)が見られず、塵(ダスト)の雲が漂いを覆うように広がっています。

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」による観測データをもとに作成されました。ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 4694の観測は、宇宙の歴史において銀河の成長と進化を進める重要なプロセスであるガスの流れ・星形成・フィードバックのサイクルを解明するために、近隣の55の銀河を観測する調査の一環として2024年5月に実施されます。

NGC 4694は一見するだけでは渦巻腕のような目立つ構造を持たない非典型なレンズ状銀河ですが、欧州宇宙機関(ESA)によればその形態と星形成動態をもとにレンズ状銀河に分類されています。レンズ状銀河は渦巻銀河と楕円銀河の中間にあたる形態の銀河で、中心部分に発達した円盤構造があります。

レンズ状銀河に大量の塵は存在していても新しい星の材料となるガスはほとんどありません。ガスの雲はここには写っていない近くの小型銀河「VCC 2062」との間に長い橋のような形をしていることから、2つの銀河は過去に激しい衝突を経験したことがあり、より大きなNGC 4694が引き寄せられていると考えられています。

近日公開予定のESAの「ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像」として、2024年9月30日に再び注目されます。さらにこの観測データは、今後の宇宙探査において重要な役割を果たすことでしょう。

ハッブル宇宙望遠鏡の進化する技術は、新たな宇宙の秘密を解明する手助けとなり、私たちの宇宙への理解を深めることに貢献するでしょう。