健康

ファージと細菌の感病・防御の関連性をエピゲノムレベルで解明

2025-03-28

著者: 結衣

高知大学 医学部外科学講座の高橋京子特任助教および海洋研究開発機構海洋研究開発機構の平野聡研究員らによる研究グループは、細菌が持つファージ防御機構(制限修飾系)を利用したファージが、感病指向性やDNAメチル化*1 パターンを変化させる現象の詳細を明らかにしました。

制限修飾系は多くの細菌が保有している、外来DNAの侵入を防ぐ機構の一つです。本研究グループは、プロリ菌感病性のファージを用いて感病履歴の異なる多様なファージ株を作出し、それらの感病価*2 とエピゲノム*3 を解析しました。その結果、ファージ株は最終宿主に対してのみに高い感病価を示し、感病履歴に伴って異なる宿主指向性を得ることを明らかにしました。また、ファージ株のエピゲノムは最終宿主のエピゲノムとおあむね一致していることも確認されました。このことは、適応ファージが宿主保有の酵素を利用してDNAメチル化を獲得していたことを示唆しています。

本研究は、ファージと細菌の感病・防御を巡る競争の理解を深めるもので、近年注目される抗生物質耐性の克服にも寄与する可能性が期待されています。これにより、細菌感染に対する新たな治療法の開発が進むかもしれません。

本研究成果は、Cell Pressが発行する学術誌「iScience」に2025年3月22日号に掲載される予定です。新たな知見が公表されるこの研究が、今後の科学界において注目を集めることは間違いありません!