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ファストリ、苦戦の中華圏も増益へ - 今期業績は市場予想上回る

2024-10-10

著者: 蒼太

衣料品チェーンの「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは10日、今期(2025年8月期)業績利益が前期比5.8%増の5300億円になるとの見通しを発表した。

ブルームバーグが集計したアナリスト14人の予想平均5150億円を上回った。発表によれば、今期は海外のユニクロ事業が好調で、北米や欧州、東南アジア・インド・豪州地域でいずれも大幅な増益を見込む。前期は苦戦した中国本土や台湾を含めた中華圏でも増益になるという。

ファストリの今期業績見通し

売上高:前期比9.5%増の1兆4000億円(市場予想1兆3680億円)

業績利益:同5.8%増の5300億円(市場予想5150億円)

純利益:同3.5%増の3850億円(市場予想3684億円)

柳井正会長兼社長は会見で、「毎月5000億円以上の売上が続けば、数年のうちに中間目標として設定する売上高15兆円に届くと見込んでいる」と述べ、その先の10兆円の目標に向け、準備を進めていると語った。

しかし、少子高齢化で国内市場が頭打ちとなる中、ファストリは積極的な海外進出を続け、今期も海外のユニクロ店舗数は80店舗の純増と見込まれている。海外事業の拡大が続く中、今後焦点となるのが、海外にあるユニクロ店舗の5割超が中国市場である中で、動産市場の低迷が長期化して消費が冷え込んでいる。

一方で、先行き不透明な海外事業に対して、ファストリのストラテジストは「中国市場に対して中長期的に非常に強気であり、楽観的に考えている」と語った。

業界全体では、ファストリの成長が続く一方で、衣料品市場全体の競争が激化し、名門ブランドも存在感を示す中、ファストリは引き続きその独自性を維持することが求められる。