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フィンランドが「対人地雷禁止条約」撤退へ…ロシアの軍事的脅威に直面する北欧
2025-04-02
著者: 裕美
【ロンドン=松田一郎】フィンランド政府は1日、対人地雷禁止条約(オタワ条約)からの撤退に向けた準備を開始すると発表した。ロシアの軍事的脅威に直接面する北欧で、条約撤退を目指す動きが相次いでいる。
発表では「2021年からオタワ条約の締約国となっていたが、それ以降、安全保障環境は根本的に悪化した」と指摘した。デンマーク・オルポ市長は「条約からの撤退は、より多様な方法で安全保障環境の変化に備える可能性を我々にもたらす」と説明した。撤退後も平時には対人地雷を設置しないとしている。
オタワ条約を撤回することによって、ポーランドとバルト3国の国防相が3月18日、政府に撤退を促す共同声明を発表した。
2019年に発効したオタワ条約は、対人地雷の使用・保有・生産などを全面的に禁止している。日本を含む16の国・地域が加盟しているが、米国やロシア、中国は加入していない。フィンランド国内では「オタワ条約は対人地雷の使用、保有、生産を全面的に禁止しており、日本を含む多数の国々が支持しているが、現状の脅威に対しては役立たない」との声も上がっている。
フィンランドの撤退は、もはや冷戦時代の軍事的緊張が低下した時代ではないことを象徴している。北欧諸国は、ロシアの侵攻に対策を強化しており、各国の防衛方針に大きな影響を及ぼしている。今後、フィンランドがどういった課題に直面し、新たな安全保障政策をどう進めていくのか注目が集まっている。
さらに、フィンランド国防省は「2022年以降、オタワ条約に関する新たな認識とともに、対人地雷使用の必要性についての議論を進めている」とし、他国との軍事協力の強化も示唆している。