火星の衛星は崩壊した小惑星の破片から形成された?新たな研究が示唆
2024-11-22
著者: 健二
アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年11月20日に、火星の衛星フォボスとダイモスの起源に関する新たな仮説を提唱しました。NASAの研究者であるJacob Kegerreis さんがこの研究チームのリーダーを務め、成果をまとめた論文は、学術雑誌『Icarus』に掲載されています。
その仮説によれば、フォボスとダイモスは、火星に接近した小惑星が火星の重力に会合する過程で形成されたとされています。具体的には、「捕獲説」と「巨大衝突説」という2つの理論が提案されています。捕獲説は、「火星に接近した小惑星が火星の重力によって捕らえられ、衛星になった」という考え方です。一方、巨大衝突説は、「古代の火星に別の天体が衝突し、その破片から衛星が形成された」というものです。
この新たな理論は、フォボスの外側にある小惑星帯が、その形成に重要な役割を果たしているかもしれないと考えられています。小惑星帯には、火星に衝突する可能性のある無数の小惑星が存在しており、これらの影響を受けて衛星が形成された可能性があるのです。
さらに、研究チームは、フォボスとダイモスの表面のクレーターを詳細に分析することによって、これらの衛星がどのようにして現在の状態に至ったのかを解明しようとしています。また、今後、火星の衛星に関する探査ミッションが計画されており、JAXAの『MMX(Martian Moons eXploration)』ミッションがその一例です。このミッションは、フォボスからサンプルを回収し、地球に持ち帰る試みです。
科学者たちは、これまでの研究を通じて、火星の衛星が小惑星の破片から形成されたという考え方が、これからの火星探査において重要な知見となる可能性があると期待しています。彼らの研究は、宇宙に関する私たちの理解を深め、新たな発見をもたらす鍵となるでしょう。