「イプシロンS」、年度内の打上げ熱望的にエンジン爆発!2回連続
2024-11-26
著者: 雪
26日午前8時半頃、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)で、開発中の小型固体燃料ロケット「イプシロンS」の2段目エンジンが地上燃焼試験中に爆発した。周辺に散らばった火花が起こり、発生から約5分後に爆発した。けが人はなかった。この同型エンジンの爆発は、昨年7月の能力ロケット実験場(秋田県)での試験に続く2回連続となる。今年度中に計画されていたイプシロンSの打上げは懸念的になった。
JAXAによると、試験は2段目エンジンの点火を2分間燃焼させ、推進力などを点検する目的で行われた。着火して10~20秒後にエンジン内部の燃焼圧力データが高まり、予想の6メガパスカルを上回る7メガパスカルまで上昇した後、49秒後に爆発したという。しかし、設計上の許容圧力48メガパスカルは下回っていた。JAXAは原原因特定を急ぐ考えだが、点検対象は約200項目に及び、再試験に至るまでに少なくとも数カ月以上かかるとみられる。
昨年7月の爆発は、2段目エンジンの点火装置の金属部分が一部熱で溶けたことが原因と推定された。今回はその部分に断熱材を施し、事前に検証を行った上で再試験に臨んでいた。記者会見した井元隆行プロジェクトマネージャーは「前回と原因が違うかもしれず、見過ごしていた共通要因があるかもしれない。3度目はないので、徹底的に全ての対策をする」と語った。
巨大中型の衛星を打ち上げるH3ロケットと並び、イプシロンは主に小型衛星を打ち上げる日本の主力ロケットの一つ。世界的に小型衛星の打ち上げ需要が高まっており、より安く高精度に打ち上げられる小型ロケットの開発が待たれているが、イプシロンは2022年10月に6号機の打ち上げに失敗するなどトラブルが続いている。イプシロンSは現行機の改良型で、2段目エンジンなどを大型化して性能強化を目指している。
宇宙開発に詳しい萩元彰・大同大名誉教授は「2回連続で爆発が起き、前回よりも問題は深刻だ。エンジンを覆う圧力容器に問題がある可能性もある。コストダウンや軽量化の開発を急ぐ中で無理が生じたのかもしれない」と指摘した。彼は、「問題の解決に向け、次回の試験に向けた設計と準備を徹底しなければならない」と述べた。さらに、宇宙産業の進展にとって、日本が再び強力な宇宙国家として存在感を示すためには、国内外での信頼を築き、技術力を向上させることが重要であると強調した。