科学

見事に横向き ハブル宇宙望遠鏡が捉えた「えら座」の渦巻銀河「UGC 10043」

2024-11-20

著者: 陽斗

私たちは「えら座(椅子座)」の方向約5000万光年先の渦巻銀河「UGC 10043」を見ています。このUGC 10043は、地球に対して真横を向いた「エッジオン銀河」の一例であり、渦巻き腕(渦状腕)がある銀河円盤に対して直線方向に広がる構造を観測するのに適した位置関係にあります。画像のUGC 10043も、銀河バルジと呼ばれる星々が密集した中心部の形状の様子がどのような形をしているのかがよくわかります。

UGC 10043の銀河円盤は右上の端が上へ、左下の端が下へ向かうように少し傾いているため、これが近くの小型銀河と重力を介して相互作用したからではないかと考えられています。銀河同士が接近すると、銀河の形が歪む現象が見られます。UGC 10043がどうしが接近するかによって渦巻き腕が尾のように細長く引き伸ばされることがあります。

この画像は、「ハブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」に搭載されている「高性能カメラ(ACS)」および以前に搭載されていた「広視野惑星カメラ2(WFPC2)」によって捉えられたものです。このデータを使って作成された「ハブル宇宙望遠鏡の今週の画像」として、ESAが2024年11月18日に公開する予定です。

ACSでの観測は2023年に行われましたが、WFPC2での観測は2000年に行われています。そのため、UGC 10043の画像は、近年の技術によって以前の観測結果を比較する重要なデータとなります。

UGC 10043はただの銀河ではなく、そこに秘められた物語があります。波のように渦を巻くこの銀河の形状が、宇宙の力学を教えてくれるものです。渦巻銀河の構造、その成り立ちについて考察することで、私たちの宇宙に対する理解が深まるかもしれません。