
カナダ首相、米関税への対抗能力には限界と認識 - 経済規模に大きな差
2025-03-18
著者: 葵
カナダのカーニー首相は17日、トランプ政権の新たな関税に対して、米国との経済規模の差を考慮するとカナダに可能な対抗措置には限界があるとの見解を示した。
就任後初の海外先を訪れたロンドンで記者団に対し、「カナダの経済規模が米国の10分の1であることを踏まえると、同等の金額の関税で対抗する能力には限界がある」と述べた。
また、カナダの対応はトランプ政権が12月に発動する関税第二弾になると指摘した。トランプ氏は相互関税を課すと語り、自動車や医薬品、半導体などの分野にも追加関税をかけるとしている。
トランプ氏がカナダに対して一律25%の関税を課すと最初に警告した時、トルドー首相(当時)は1550億カナダ・ドル(約16兆円)相当のカナダ産品に報復する可能性を示した。その後、トランプ政権の施策を受けて、4470億カナダ・ドル相当のカナダ産品を対象に対抗措置を進めた。
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トルドー氏の後任として14日に就任したカーニー氏は、リストに残る950億カナダ・ドル相当を超えて対抗措置を語るのは難しいと示唆した。これらが選定されたのは「米国に最も大きな影響をもたらす一方、カナダへの影響は限定的なためだ」と説明した。
その上で、「最終的に米国に影響を及ぼさないと考えられる施策は語れないし、カナダに明らかに不利になる施策も当然語れない」と述べた。
専門家は、米国が加えた関税がカナダ経済に与える影響を警戒しており、貿易戦争が続く限り、その影響は深刻化すると警告している。カナダ政府は、その影響を最小限に抑えるための長期的な戦略を立てる必要がある。特に、国際的な貿易環境が不安定な状況においては、新たな市場の開拓が求められる。