近日、慶應義塾大学と東京大学の研究者たちが発表した論文「Necomimi Illusion: バーチャルな猫耳と連動する毛髪を通じた触覚フィードバックによる所有感生成」は、猫の耳を模した触覚デバイスを使ったもので、人間が持ち得ない猫耳に対する身体的所有感を調査した。

バーチャル・リアリティ（VR）プラットフォームにおいて、動物の耳を持つアバターが広く利用されている特に「けもみみ」という呼ばれる動物の耳のデバイスは人気が高く、社会的インタラクションの在り方を一変させる可能性を秘めている。

研究チームは、すべての被験者が「人間とは異なる耳を持っている」ことへの強い共感が見られ、特に「ケモ耳」として知られる動物の耳や尻尾が生えている人間型アバターが全体の47%を占める傾向にあることがわかった。

さらに、身体を持たない猫耳のような存在についての所有感を調査するために「Necomimi Illusion」という名の研究が行われた。デバイスはリアルタイムでの触覚刺激を受けるため、仮想空間内で立体的な体験を積んでいくことが可能であり、実際に20人の参加者がVR空間内で猫耳アバターに変身し、別のアバターに切り替わるシナリオを体験した。

今回の研究では、触覚刺激があり得るかどうかを定義する際の指標として、触覚刺激の有無、反応、およびこの猫耳が自分の身体の一部であるかを感じることに関する様々な要素が考慮された。

結果として、触覚刺激の有無や猫耳が自分の身体の一部であると感じることが絡んだ項目において、猫耳の所有感が強まる傾向が見られ、ユーザーの感情的な連携が進む情報が示唆された。また、VR体験の中でユーザーは自らの身体感覚が他のシミュレーションされた存在と統合されたことを経験し、所有感が高まったことが報告された。

このような発見は、VR技術がもたらす新しい身体体験の可能性を一変させ、今後の研究やエンターテインメント、または教育現場などにおいても重要な影響を及ぼすことが期待されています。この発表に伴い、VRのパフォーマンス向上が重要なテーマになることは間違いなさそうです。

実際の研究が進むことで、単に楽しいだけでなく、感覚体験の側面からも議論が進められ、今後のVRコミュニティにおいても革新的な技術の導入に拍車がかかるでしょう。