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コラム:日銀の5月利上げと円相場、それでも遠い円の反転シナリオ=内田純氏

2025-03-26

著者: 裕美

【東京 12日】 - 日銀は、3月に開催された金融政策決定会合で大方の予想通り、政策金利を維持した。記者会見で植田和男総裁は、トランプ政権の施策の影響について触れ、不確実性が高い点を指摘し強調した。片や、政策金利からインフレ率の差が引き続き大きなマイナスな点を踏まえ、金融緩和策を維持していく方針を改めて示した。さらに、日銀の政策は、デフレ脱却を目指す観点から、アジア諸国や米国の金利動向とも密接に関わることがあるため、投資家にとって常に要注意が必要と言える。

【利上げ期待の背景】

こうした中、市場では今後の利上げ期待が高まっている。具体的には、7月から前正に向けた利上げが確実視され、その後の9月〜10月を見越しても段階的な引き上げが施されるとの見方が広がっている。特に、今年の経済成長率は順調に推移しており、景気回復が進んでいるため、市場の関心が集まりやすい条件が整いつつある。また、急激な円安には警戒感が強く、必要に応じて政府・日銀の連携が求められる状況が続いている。

【今後の展望】

さらに、金利の動向によっては、円の反転シナリオもあり得る。特に、今後の金融政策決定会合やFRBの動向が結果に影響を及ぼす可能性が高く、引き続き注視していくことが重要である。このため、金融市場の動向と併せて、円相場が影響を受ける要因も多岐にわたり、ただの金利上昇だけでは円高をもたらすとは限らない。たとえ、円の反転が現実に起こったとしても、その過程には多くの試練が待ち受けていることを忘れてはならない。

投資家は、今後の金利動向や金融政策に敏感に反応しつつ、リスク管理をしっかりと行っていく必要があるだろう。最近では、米国でのインフレ率上昇など、外部要因が日本の金利に与える影響もあるため、特に国内外の動きに注意を払うことが求められる。

加えて、長期的には金利が上昇しても景気に与える影響を見極めながら、慎重に市場環境を読み解いていくことが大切である。今後の日銀の新たな金融政策がどのような形で利上げに結びつくか、そしてその影響がどのように円相場に反映されるかを引き続き注視していく必要があるだろう。市場関係者の期待と不安が交錯する中、円の動向から目が離せない状況が続いている。