クラム:トランプ関税が日本に与える影響、まだある隠れリスク=熊野英生氏
2024-11-14
著者: 芽依
【東京 14日】すでにトランプ次期大統領の話はうんざりされているが、筆者はまだ深く掘り下げられていない論点があると感じている。本稿ではその中でも、トランプ関税などの貿易と、それに関連する為替について論じたい。
まず、トランプ氏は輸入品に10〜20%の関税を、特に中国には40%もの追加関税をかけるとしている。この措置は米国が輸入品を購入する際に高いコストを課すものであり、報復関税をかけられることもある。このため、輸入品の価格は上昇し、米国民の購買力にも影響を与える。
実際、中国や欧州連合(EU)は前回のトランプ政権による関税政策に対抗して、報復関税を導入した。これにより、米国製品の販売は厳しくなり、特に農業分野での打撃は大きい。さらに、トランプ氏のもとで完了すべきとされた米中貿易協定も不透明な状況にあることから、今後の見通しはますます危うい。
また、自国がトランプ政権の関税政策から影響を受ける場合、日本はその影響を受けやすい。トランプ氏が予定する関税は、米国市場向けに輸出している日本企業にとって大きな心理的障壁となる。特に、自動車産業はその影響を顕著に受けるだろう。さらに、日本企業は生産コストを抑え、競争力を保つための戦略を再考する必要がある。
そして、トランプ氏の関税政策は、貿易業者としての日本の位置づけにも影響を及ぼす。アジア地域全体での競争が激化する中、日本は何をすればよいのか、明確な戦略を持たなければならない。たとえば、サプライチェーンの見直しを行い、アジア近隣国に依存するリスクを軽減する施策が考えられる。
ただし、トランプ氏の当選がもたらす経済的な影響については慎重に見極める必要がある。歴史的に見ても、貿易戦争は経済に悪影響を与えることが多いため、関税政策の行く先について広範な議論が求められる。
結論として、トランプ氏の関税政策は日本経済において多くのリスクを抱えている。日本は、経済的な衝撃を最小限に抑えるための対策とともに、新たな国際関係を築いていく必要がある。