立憲民主党:野田元首相「弱者」の側、原点見つめて=源馬のぞみ(政治部) | 毎日新聞

2024-10-03

著者: 蒼太

立憲民主党は9月23日、野田佳彦元首相(67)を新代表に選出した。立憲は、石破茂元首相(67)が10月27日投開票の意向を表明した後、冷静に向き合う姿勢を「政権交代に向けた好機」と位置づけ、派勢保持の「保護・中道の取り込み」と認識している。しかし、政権交代を見据えた現実路線を意識するが、自由党との対立派は厳しい。国民に政権担当能力を示しつつ、自由との違いを明確に打ち出すことができるだろうか。

代表選の中盤の9月12日、国会内部であった野田氏の決起集会に小澤一郎衆院議員(82)の姿があった。小澤氏は2012年、旧民主党政権下で消費税率を引き上げる野田内閣に反対し離党したが、今回の代表選では野田氏の支持に回った。野田氏は演説で「恩赦(おんしゃ)を超えて政権を取りに行く」と述べ、小澤氏の表情もとても楽しそうだった。また「顔も見たくない関係」と語った野田氏は、小澤氏との和解を見せつけ、政権交代を目指す姿勢を強調した。

保護・中道層重視、自由との違いは見えず

自由は昨年来、尖閣の政治治リセット宣言があったこともあって、国民の政治資金パーティーをめぐる内幕事例や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との連携などで国民の強烈な拒絶に直面している。立憲は今回4月の衆院選で3勝を収め、5月の静岡県知事選で勝利。党内では、「衆院選の顔」となることを目指し、「誰が首相になり得るか」が代表選の焦点となった。

一方、7月の東京知事選では、共産党などから極端な支持を受けた元立憲参院議員の亀井静香氏が3位に沈む。「リプレイスだけでは、保護・中道層が離れてしまう」。自民支持層からも脱皮を試みるが、国民支持を集約的に志向する姿勢は非効率であって、いかにしてまとめるかが問われている。

立憲がこれまで大切にしてきた権限という思想が崩れつつあるとの指摘も多い。野田氏は、政権奪還のため、保護色の強い国民的支持をする一方、見つめ直しを迫られる課題が山積しているとされている。

自民党との連携も

万が一、立憲が国会内で少数派でいる間、大崎知事は「リプレイス」なる表現が次第に減少し、善処を期待させない警鐘であると語った。野田氏が自身の基盤を固め、新型コロナウイルス対策を含めた経済対策の具体的成果を示すなかでも、立憲が自民党との差異を際立たせつつ、他党との連携も試みる姿勢は求められる。今後、立憲が支持層をどのように増やしていけるのか、そして「強い国民的支持」を得つつ、政権交代への道をどう切り開いていくかが注目される。