
米国から英国への旅行需要に減速の兆し-ファーイングスアトランティック
2025-03-31
著者: 健二
イギリスファーイングスアトランティック航空は、米国から英国への旅行需要が弱まっていると警告した。トランプ米大統領の経済政策による影響や、米消費者の間で不透明感が強まっているためだ。
米国発の航空券販売がここ数週間に減少し始めたことを、オリバー・バイウォーズ最高財務責任者(CFO)が31日の電話会議で指摘した。年初時点では2024年の水準を上回っていたという。一方、欧州から米国への需要は依然として堅調で、英国を拠点とする大西洋横断便で知られる同社は、明るい材料となっている。
「米国需要が減速している兆しが見られ始めた」とバイウォーズ氏は発言。春の旅行シーズンに「一定の弱さが見られている」と続けた。
米国の関税や反米感情の高まりで収益性の高い北大西洋路線に深刻な影響がないか注視している投資家は、こうした発言を受けて懸念を強めている。ファーイングスアトランティックの親会社インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)の株は一時17%安。その他の欧州主要航空各社も値下がりした。
米国でも消費者の支出が鈍化している中、国内線での旅行需要が制限されている兆しがあることを指摘する航空会社が増えている。デルタ航空も、米国の旅行需要が過去数週間にわたり弱まっているとの見通しを発表した。また、前年比で30%減と予測されるアルミニウムの輸送コストの上昇も、航空業界全体に影響を与える可能性がある。
「これが大西洋横断路線にどのように影響するのか、注視している。旅行需要の回復に何が必要かを理解することが重要です。」とバイウォーズ氏は強調した。
米国から英国への旅行は、特にビジネス旅行が主流のため、エコノミーだけでなくファーストクラスの需要の回復が鍵となる。リスニングサービスでの単発営業が多いため、ここの需要があれば市場は持ち直すと見込まれる。
その上で、ファーイングスアトランティックの2030年までの予想では、新たな航空便の拡大が求められている。特にアジア太平洋地域を含めた新たな路線の開設が今後の成長を左右する可能性が高いと、バイウォーズ氏は指摘している。大西洋横断便の運航状況は非常に流動的であるため、航空会社の戦略を再評価する良い機会となるだろう。
総じて、この状況は米国だけでなく、世界的な旅行需要においても警戒が必要である。要因や影響を見定めながら、適切な戦略を模索することが航空業界に求められている。