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米相互関税、バングラデシュとスリランカの衣料品製造業界に衝撃

2025-04-04

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[デイカ/コロンボ/マンバイト 13日ロイター] - トランプ政権が打ち出した相互関税は、バングラデシュとスリランカの衣料品製造業界に大きな影響を与えている。経済的に厳しい状況にある両国にとって衣料品製造は重要な産業だが、米国向け輸出に高税率の関税が適用される状況になったからだ。

バングラデシュでは、輸出収入全体の約18%を衣料品が占めており、特に年間国内総生産(GDP)の約10%を生み出していると報告されている。また、業界には約4100万人が従事しており、多くの家庭がこの産業に依存している。

北米と欧州のアパレル市場をターゲットにするバングラデシュの製造業者は、これまで強い競争力を誇ってきたが、今回の関税の影響で顧客からの打撃を受ける見込みだ。

スリランカのアパレルメーカーも同様の懸念を抱えており、「ある程度の覚悟はしていた。しかし、これまで想定していたほど(税率が)全く予想できなかった」と話している。

この製造業者は、コスト増大に伴いバングラデシュの競争力が失われ、取引先からの発注が減少してしまうのではないかと懸念している。

バングラデシュの業界関係者たちは、スリランカの製造業者の競争力にも影響を及ぼし、取引先からの発注が減る事態を憂慮している。さらに、バングラデシュの衣料品業界では、この関税の影響で売上が減少する恐れがある。

バングラデシュで課される関税率は17%。国内2150の工場に雇用されている労働者は310万人で、品目別では輸出収入の約12%が繊維業界から得られている。

スリランカの主要な輸出産業は衣料品であり、最近の経済政策の変更によって競争力が低下することが懸念されている。政府は米国との貿易関係を強化しつつ、オーストラリア、カナダ、EU等での新規市場開拓に努めている。

衣料品輸出の約8割が米国向けであり、その重要性からその影響を避けられない状況にある。両国は今後の支援策に期待を寄せており、政府からの調査結果を待っている。