
米製造業指標、今年初の縮小 - 企業の利益コストが大幅上昇
2025-04-01
著者: 裕美
3月の米製造業活動は、今年初めて縮小の領域に入った。特に、加速するインフレが経済全体に影響を及ぼしている中、企業の利益コストは大幅に上昇している。米供給管理協会(ISM)は1日に発表し、そのデータには懸念が集まっている。
製造業総合景況指数は1.3ポイント低下の49になり、ブルームバーグ調査のエコノミスト予想値49.5を下回った。基準値の50を下回ると、経済が縮小していることを意味します。企業の利益コスト指数は7ポイント上昇し、69.4なのは、2022年6月以来の高水準だ。2月と3月を合わせると、14.5ポイント上昇し、比較可能な12ヶ月の上昇幅としては14年ぶりの大きさを示している。
新規受注は3.4ポイント低下の45.2、2023年5月以降の低水準で、さらに受注減が44.5と、前月から縮小ペースが加速していることも示された。生産が48.3と、今年初めてマイナス圏に落ちた。需要も一段と縮小が続き、指標は44.7となり、昨年9月以降の低水準に達した。
今回の調査は、トランプ政権への影響の強い関税政策で製造業者の景気感が委縮していることを示唆している。トランプ大統領の貿易不均衡の是正や米国内での投資進展、重要製品や原材料などの国内生産能力の向上を目指す方針を打ち出しているが、12日には相互関税についての見通しも発表される。
3月は木材や紙製品、プラスチック・ゴム製品、家具など7業種で活動が縮小した。一方で繊維や石油・石炭、加工业などの業種は活動の拡大を示した。
米製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は「需要と生産は後退し、社員削減も続いた。調査対象の企業は需要の減退に対応している」と指摘した。
加速するインフレ導入の詳細を巡る不透明感から、投資計画を一時停止している企業もある。一方、関税引き上げを控えた輸入の急増で、米製造業の在庫指標は53.4と、22年10月以降の高水準。総合指標を下支えする形となった。
国外から原材料などを確保しようとする動きがある中、価格を押し上げる一因にもなっている。今年に入って消費者需要が減少していることを懸念すると、生産者がコスト上昇分を消費者に転嫁するのが難しくなる可能性がある。まだまだ厳しい状況が続きそうだ。
業界の詳細は表示をご覧ください。