NASAが月や火星でキノコを使った住宅を創る計画
2024-10-04
著者: 愛子
人類の新たな生活圏を宇宙に求めるNASAは、不可能を可能にする画期的なアイデアを求めている。その一つが「キノコを利用した住宅」と呼ばれるユニークなものである。
宇宙の居住地をキノコ、正確には「菌類の菌糸体」で作ってしまおうという研究を推進しているのは、NASAエイムズ研究センターのチームである。
同チームは、NASAの「革新的先進概念(NIAC)」プログラムの下、支援を受けていたが、このたびその研究に助成金額のPhase III(段階3)授与が決定した。
この助成は、研究が今後の実証ミッションに備える段階に達したことを意味する。
この段階に進むことで、チームは今後2年間で合計200万ドル(約2億4900万円)の資金を獲得し、新たな宇宙構築素材の開発を推進することになる。
なぜ宇宙の居住地をキノコで作るのか?
月や火星で活動している探査機などに伴い、将来的にそこに設計される居住地は、基本的にその土地の資源から持ち運ばれることが先行される。
しかし、地球からの物資を持ち運ぶのは大変困難で、それでも物資を現地調達するのは決して簡単ではない。宇宙探査機の物資を運ぶスピードは限られ、現在では必要最小限の物資しか運ばれていない。したがって、できるだけ物資を現地調達することが求められている。
ここでNASの支援を受けている、実際に住宅を建設している今もある。
このキノコの活用は、実際に地球上に根を下ろし、必要な資源を現地調達しやすくする「菌糸体」を使うものである。
キノコは子実体と呼ばれ、菌糸を飛ばすために地上に作られる一部であり、その本体は菌糸体として地下に広がっている。これが宇宙において、そのまま火星や月に生えると考えられ、非常に効果的な材料の一つとして注目されているのだ。
この菌糸体の利点は、その防火性や耐熱性が高いことであり、リサイクルも可能なエコ素材である。将来的には、未開の都市をキノコで作ることが提唱されている研究者たちもいる。
NASAエイムズ研究センターが進める「マイコテクチャー・オフプラネット」と呼ばれるプロジェクトでは、既に有用なキノコで宇宙建材を開発している。
これは昆虫に含まれる特定の成分により、形成される微量素材の問題に取り組んでいる。
今後の宇宙旅行者がその建材を手にし、月や火星に到達した場所で水を注ぐこととなれば、そこに含まれたキノコがフレームに負荷を与え、最終的には建物に成長してくれるのだ。
フレームに対しても成長し得ないので、そこから星を濁してしまうこともない。
キノコ建材の優位性はすぐに証明され。
マイコテクチャー・オフプラネットは、コンクリートで軽量な宇宙設計用の多様構造素材を開発すること。
これが実現すれば、未来のミッションで宇宙船に積まれる食物を大幅に減らすことが期待される。
その優位性は、過去のNIAC賞を通じて証明されて未来の展望に大きな道を切り開いていることを意味する。
キノコのポース・バイオコンポジット素材の試作品はこれまでに開発され、地球以外の星での使用を想定した試験や、放射線を防ぐ能力の評価が行われており、より具体的な月面居住地のデザインなども提示されている。
またキノコ建材は宇宙だけではなく地球でも利用可能で、水処理や廃水からの金属を取り出すといった応用も考えられる。
宇宙の有人探査からロボットに至るまで、NASAは未来を大きくチャンジする可能性のある宇宙技術の研究開発を支援し続ける。
NIACプログラムの上層部、ジョン・ネルソン氏は、プレスリリースでその四段階について次のように述べている。
「マイコテクチャー・オフプラネットは、先進的なコンセプトによって、来たるべき探査ミッション構想が変化することを示す好例です。」