科学

なぜ南国の魚はカラフルなのか?「目立って危なくないの?」

2025-04-06

著者: 蒼太

「あんなに目立って大丈夫?」と問われる南国の鮮やかな色を持つ魚たち。

日本周辺の海では基本的に魚は地味な色合いをしています。しかし、透明度の高い南国の海に生息する熱帯魚は、小魚までが非常に鮮やかな色をしています。

なぜ同じ魚なのに、これほど色彩や模様が異なるのでしょうか?

大きな要因の一つは、南国の海は太陽光が強く、水も澄んでいて光が深くまで届くため、水中でも鮮やかな色が見える環境が広がっています。また、深海や寒帯の濁った海では光が届きづらく、色の違いが意味を持たないのです。

深海や寒帯の暗い海では光が届かず、色の違いが意味を成しません。しかし、南国の海では、明るさが魚が身を隠す環境を提供し、視覚的に鮮やかな色が役立つ場面があります。

普段考えると、小さな魚が目立つ色を持っていることは生存にとって不利に働くように思えます。「これだけ目立っていたら、捕食者に食べられてしまうのでは?」と思うのが自然です。

しかし、実際には、透明度の高い海では、目立つ色を持つ魚は捕食者から見えづらくなることが知られています。こうした環境では、色の鮮やかさが、逆に生存のために有利に働くことがあります。

例を挙げると、アマゾンや熱帯地方の環境では、群れで生活している魚が多く、比較的近距離で仲間を見分けるための情報伝達として色が重要です。そのため、目立つ色が戦略的に進化してきたと考えられています。

他方、イワシなどは群れで捕食者を避けるため鮮やかな色を持たず、すっきりとした色合いとなっています。これは、これらの魚たちが環境に対する適応の一形態であるとも言えます。

このように、南国の鮮やかな海では生物としての適応が進化し、色が生存戦略の一環として働いているのです。

また、南国の透明な海は人間にとっても美しい生命の楽園のように感じさせてくれますが、科学的に見ると「藻場が不足している海」とも言われています。

植物プランクトンの成長に必要な藻場が通常より少なく、これは自然環境の変化により生物に与える影響のひとつです。こうした背景により、食物連鎖の出発点となるプランクトンが少ないため、またこれが魚たちの生態系に影響を与えています。

このような環境の中で、南国で生きる魚たちはプレッシャーとなる要因にさらされながらも、独自のカラフルな生存戦略を展開しているのです。

それでは、具体的には魚たちはどのようにしてこのカラフルなままで生存競争をしているのでしょうか?詳しく見ていきましょう。