なぜ日本の「引きこもり」が特異な状況なのか?

2025-03-30

著者: 結衣

日本社会において、引きこもりの問題が顕著である。引きこもりとは、社会との接触を断ち、長期間自宅に閉じ込められている状況を指し、これはある意味で日本独特の現象とも言える。他国の例を見ても、特にアメリカや欧州においても若年層の孤立が問題視されているが、日本ほど深刻な状況ではない。

例えば、アメリカでは「NEET(Not in Education, Employment, or Training)」という言葉が広まり、教育や仕事に参加しない若者が増加しているものの、その背景には様々な社会的要因がある。例えば、経済的基盤の脆弱さや教育システムの問題などが指摘されている。しかし、日本の引きこもりは、これらの要因に加え、伝統的な価値観や家族制度が強く影響を及ぼしている。

日本は特に家族を重視する文化が根付いており、若者が自立できずに親に依存する傾向が強くある。その結果、「引きこもり」となった若者は、国内で400万人以上とも言われており、就業を経ずに自宅に留まることが常態化している。また、明らかな経済的理由以外にも、社会的なプレッシャーや自尊心の問題も大きな要因となっている。

欧州に目を向けると、フランスやドイツでも似たような孤立の問題があるが、それでも社会的な支援や制度が整備されており、引きこもりが解消されるための支援が受けやすい環境が存在する。対して日本では、引きこもりの若者に対する理解や支援がまだまだ不足しているのが現状だ。

さらに、引きこもりの若者は年齢とともに増加し、国民に占める引きこもり世代の割合も上昇している。過去の調査によれば、日本の引きこもりは15歳から39歳までの世代で高い割合を示しており、特に25歳から34歳の層が最も顕著であるとされている。

この問題を解決するためには、まず地域社会の理解を深め、支援のシステムを強化することが求められる。例えば、メンタルヘルスの支援やカウンセリングの普及が効果的です。また、社会参加を促すイベントやプログラムを通じて、引きこもりの人々がひとりでないことを実感できるような環境作りが重要だ。

これからの日本は、この「引きこもり」の問題にしっかりと向き合い、より良い社会をつくっていくための取り組みを進める必要がある。その先には、孤立した若者が社会に出るための新しい道が開けることを期待したい。