
なぜ昔の人は老けて見えるのか? 科学が解き明かす「見た目年齢」の変化の真相
2025-03-28
著者: 蒼太
人々はなぜ昔の人が老けて見えると感じるのでしょうか? これは生物学的な年齢だけでなく、社会的な影響も関係しています。
SNSの普及に伴い、過去の写真や映像が共有される中で、実際の年齢以上に老けて見えることがあります。
例えば、1950年代後半には大きな変化が起こり、多くの人が若く見えるようになっています。17歳で飛行機事故で亡くなった若者の写真は、その年代の人々が抱える重圧や生活環境によって形成されたもので、若者とは思えない老けた印象を与えます。
一方で、現在の若者は40歳に見える老け方をしないことが多いです。これには、食生活や医療の進歩、生活習慣の改善が影響しています。私たちの親や祖父母の写真と現在の自分たちを比較すると、30年代であっても50〜60代に見えることがあるかもしれません。
では、昔の人が老けて見えるのはなぜでしょう? 昔の人に比べて現代人は、より多くの美容や健康に関する情報を得ることができます。また、社会全体が若々しさを重視するようになってきたため、見た目に対する意識が高まっています。
この問いに関して、アメリカのイェール大学に所属するモーガン・レフリン教授らによる研究が、2018年に発表されました。彼らは、1988年から2010年までの全米民間衛生・栄養調査(NHANES)のデータを基に、2万人以上の生物学的年齢を算出しています。
血液検査や呼吸機能、筋力、体重などのバイオマーカーから、実際の年齢(実年齢)とは異なる「体内年齢」を評価しているのです。こうした調査によれば、1988〜1994年と2007〜2010年の2つの期間を比較して、現在の人々は同じ年齢でも、過去の人々よりも若々しさを持つことが分かりました。
特に60〜79歳の男女では、平均して3〜4歳ほど生物学的に若くなっています。このように、ただ単に寿命が伸びているだけでなく、加齢のプロセスが遅くなっていることが示唆されています。
この背景には、医療技術の進歩、健康的な食生活、ライフスタイルの変化が寄与しています。例えば、喫煙率の低下や運動習慣の増加、ストレス管理の重要性が認識されてきたことが、心身の健康を保つ要因となっているのです。
したがって、加齢のペースが遅くなっていることは、なぜ昔の人が老けて見えるのかという問いに対する一つの答えかもしれません。また、現代を生きる私たちも、この進化した環境の中で、見た目や精神的な年齢を意識し続ける必要があります。