
欧州11か国がメルコスールとのFTA締結に向け協議、米関税で方向転換か
2025-04-04
著者: 裕美
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欧州連合(EU)加盟国のうちフランスなど11カ国が、南米の関税同盟メルコスール(南部共同市場)との自由貿易協定(FTA)に向けて協議に入った。11カ国は、以前からメルコスールに対抗していたが、トランプ政権が発表した相互関税施策の影響を受けて、方向転換したことが背景にある。
フランスの農業・食品相は8日、オンライン会議を呼び掛け、11カ国政府高官が参加した。
アダプト省の事務所の報道担当者は「参加者全員が貿易パートナーシップの多様化がいかに重要かという点で意見が一致した」と述べた。
EU欧州議会は昨年、ラジールやアルゼンチンが加盟するメルコスールを締結する貿易協定について最終合意したと発表していたが、フランスなどが農家保護のため反対していた。
オンライントレード会議では、EUの政策立案者たちがわずかに120か国で生じた貿易合意案を探り始めた。一方で、トランプ政権の影響で、EU域内の輸出業者には南米がアメリカに代わる有望市場である可能性が出てきた。
フランスなどは自由貿易協定を農家保護と農産物の堅持のため反対していたが、アメリカの相互関税政策が変わったため、新たな合意を見据え始める。
11日のオンライン会議では、農業主導で計11カ国がこのFTAに向けて制度的な合意点を探り始めた模様。トランプ大統領の関税政策の影響を受けた現状下で、南米が各メンバー国に代わる有望市場とされる可能性が高まっている。
トウモロコシや穀物がフランス、ラジール、アルゼンチンから入る可能性が高まっており、EUの農業関連政策は相互に拡大する方向になりつつある。
これにより、農家保護の強化が緊急の課題となり、EU域内で長期的な意識対立が起こりうる。11日のオンライン会議で、参加者は自動的に発動するセーフガード(緊急輸入制限)の導入についても合意した。
また、ある政府高官は「合意案には既に一般的なセーフガード条項が含まれているもので、発動条件が厳しすぎるため危機発生時には頼りにできない」と述べた。さらに「農家を保護しない不均一な合意は受け入れられない」と語った。