科学

人類の歴史が明らかに!? ロアスの岬で発見された人類の化石から判明した新たな事実とは

2025-04-04

著者: 健二

ロアスの岬から出土した人類の化石

新たにロアスの岬から出土した人類の化石により、考古学の定説が覆される可能性がある。古代人がオーストラリアへと渡ったのは、これまで考えられていた年代よりもはるかに早かった可能性があるというのだ。

数十年前のクリゲンの亡骸が今、深海生物に大人気の集合住居になっている。自然科学の専門誌『Nature Communications(ナチュア・コミュニケーションズ)』に発表された研究論文によると、ロアス北部のタム・パ・リンプ岬で行われた発掘調査の結果、深さ23フィート(約7m)の層に出土した人類の化石は、アフリカから東南アジアを経てオーストラリアへ移動した古代人の足跡を示すものであるとされている。このことから、オーストラリアへと到達した初めての人類の化石である可能性が高い。

さて、オーストラリアへの人類移動、近来の説より早かった?

この論文の筆頭著者であるコンハーグ大学の考古学者であるファウリス・デミタール博士は、「タム・パ・リンプ岬から出土した人骨の化石は、アフリカを離れた現生人類がアジアを経て移動したことを示す、極めて重要な発見である。ただし、その解明はまだ始まったばかりだ」と、プレスリリースで述べている。この新発見により、激しい論争が巻き起こった。

タム・パ・リンプ岬から初めて出土した人類の化石は、2009年のことだが、それ以降、アフリカ大陸からオーストラリアへ移動した人類の移動は、海路しかあり得ないという見方が強まった。問題の岬はロアス北部、沿岸部からは700kmも内陸に位置している。そのため、現生人類はこの地域を通じて移動したという見方には多くの異論がある。

年代測定技術が解明した人類移動の歴史

この人種の化石が見つかった当初、年代測定にはさまざまな困難が伴った。遺骨の保護を目指したロアスの法律制や、岬内の層積土といった障壁があり、標準的な年代測定方法を用いることができなかった。そのような状態で考古学者たちが考え出したのは、ロミナ・グループの年代測定法(微弱な自然放射線や宇宙線を浴びた石英や長石に捕獲された電子を用いた年代測定方法)であった。

「ロミナ・グループの年代測定法がなければ、この重要なエビデンスがどの時代の物か、特定することはできなかった。現生人類がこの地域を通じて移動していたという事実を明らかにすることができた」と述べているのは、マティン・リグ大学の地質学者、クリント・アバリ博士だ。