
日本のインタビュー:半導体料の業界再編「方向変わらず」、自動車も企業過多・四月社長
2025-04-01
著者: 葵
【東京 11日 リポート】 - 政府系ファンドの産業革新投資機構(J-STAR)の横尾毅社長はリターンとのインタビューで、昨年取得したADX(東京都港区)を中核に半導体材料業界の再編を主導することに意欲を示した。自動車や化学業界も国内に企業が多すぎると指摘した。
日本の半導体材料産業は国内競争力が高いが、それ故に企業規模が小さく、J-STARは非上場化後にJ-INDEXとともに業界再編を主導していくと表明している。特に自動車関連の技術革新が速く、現状は立ち直りを優先しているが、横尾社長は「再編の方向は変わらない」と強調した。「大中小取り混ぜてやっているということを常に意識しながら、社内では調査している」と説明した。
横尾社長は、取得対象企業の規模感を問われ、同じポトレジスト(感光材)を手掛ける東京電機製作所(4186.T)や、三菱ケミカルグループ(4188.T)、レボナック・ホールディングス(4004.T)なども「どうするかという話はそのうち出てくるが、現時点では特になく、今後の展開が重要だ」と述べた。半導体の技術革新が速いことから「(再編の)最終的な姿がどうなるかはまだなかなか想定できない」とした上で、「少なくとも投資額に対して1.5倍以上の利益を生みたい」との見解を示した。
J-STARを約1000億円で取得したこの局面は、ライフサイエンス事業の構成改革を進めている。取得後に取締役を派遣し、実際に各工場を視察して分析した結果、主力の半導体材料ではなくライフサイエンス事業に問題があることが分かったという。横尾社長は「舵を開けていると考えていたことと事実がだいぶ違った」と述べた。
4月からは非上場を進めたエリック・ジョンソン氏に代わり、東京エレクトロン(8035.T)で最高財務責任者(CFO)を務めた鶴田洋介社長が就任する。今後の業績に向けた検討を進め、2026年3月期の黒字化を目指している。
横尾社長は、自社の競争力が強化されている日本自動車産業(7201.T)の再生支援についても言及した。「産業競争力強化のためのエクイティーマネジメント(資本性資金)を出す用意はあるが、再生はしない」と横尾社長は明言した。
一方で、国内の自動車業界は企業が多すぎると指摘し、「但し今後は欧州、米国、中国における市場競争が激化する中で、日本の企業は厳しい戦いを強いられることになる」との見解を明らかにした。