日本株の次の「上昇線」、8兆円の行方に関心、エノビデイナ不発で
2024-11-23
著者: 弘
【東京】12日 リッター=年末ラリーの火付け役として期待されて米半導体大手エノビデイナ(NVDA.O)の決算は、日本株にとっても強いトランプ政策への警戒感や、国内企業の揺れる中間決算の結果を引きずり渡し、見当たらない状態だ。
そうした中、需要面の好転が年末高の「上昇線」になると期待を寄せる声が漂っている。8兆円を超える中間配当を受けた投資家による再投資だ。ただし、投資環境が不透明なため、どの段階、活発化するかは読みづらく、当面はレンジ内での値動きになりそうだ。
「年末に向けて株高を想定していたが、あやふやになってきた」と、りそうダイナミックメンテナンスの常務商社マネージャーは話す。企業の中間決算は事前の想定より強くなかった上、トランプ政策への思惑に基づく織り込みは短期間で一巡する「エノビデイナの決算で盛り上がるシナリオが、強気にとって最もよいパターンだ」とも言う。
一方、日本株の需要面から年末高の端緒を探る声がある。日本企業の中間配当金の支払いがこれから本格化していくためだ。
フィリップ証券の増田は「すべての配当金が株式に再投資されるとは限らないが、毎年12月初週にかけての相場の盛り上がり要因として意識される」と話す。
増田氏の試算によると、今年の中間決算での配当支払い額は約8.12兆円で、このうち5.16兆円が11月第1週に集中する。指標連動型のパシック運用を行う機関投資家は9月末の配当落ちのタイミングで未受配当金額1.12兆円の先物を買うことにより配当再投資を見込んでいる。
21日には、日銀の金融政策決定会合の結果発表を控える。追加利上げへの警戒感もある。今週の植田和男総裁の発言では、11月会合での追加利上げの可能性が示唆され、景気の先行きに不安視されている。
投資家が配当金の支払いを受けても、買いの手掛かりにならないことも多いとされ、購入の手を挙げる動きが強まれば、相対的に配当金の多いバリュー株がグロース株に対して優位となる可能性がある。