ロシア、軍隊「150万人体制」を前倒し 報告増や一時金 - 日本経済新聞
2024-11-29
著者: 桜
ロシア軍の増強計画
ロシアは12月1日から軍隊の総数を最最大150万人に増やすことを前倒しする。2026年までの目標を前倒しする形となる。同国西部クリースク州におけるウクライナ軍の越境攻撃に対応するため、ウクライナ東部で攻勢をかける。
兵士の増加状況
ロシア軍の兵士は23年12月以降、132万人で推移しており14%増となる。ショイグ国防相(当時)は23年1月、26年までに150万人まで増大すると言及していた。プーチン大統領が24年9月、兵士を増やす大統領令に署名した。
侵攻前の兵士数
ロシアが22年2月にウクライナ侵攻を始める前の兵士総数はおよそ100万人であった。侵攻開始後に大幅に増員し、侵攻前との比較では5割増となる。
ウクライナ侵攻の現状
プーチン氏は6月、ウクライナ侵攻におよそ70万人の兵士が参加していると明らかにした。ロシア軍は停戦交渉を始める前にウクライナの制圧地域を維持しようと急いでいる。
米大統領選の影響
兵士を増やして現在配備しているドニプロク州などウクライナ東部で攻勢を強める考えだ。11月の米大統領選で早期停戦を合意に誘導するトランプ前大統領が当選し、停戦交渉の開始が現実味を帯びた。
兵士の死傷者数
ショイグ氏は21日の国民へのプレゼンテーションで「ロシア軍は順調に前進しており(特別軍事作戦の)任務は全て達成されるだろう」と強調した。ただし兵士の死傷者数は増え続けており、早期に補充する必要がある。
ウクライナでの死者数
英BBCなどは11月、ウクライナにおけるロシア軍兵士の死者数は侵攻後、7万8000人以上に上ると伝えた。
損失の分析
ロシアの独立系メディア、メドゥーザは10月に軍の死者や重傷者を合わせた「回復不能な損失」は同月中旬までに25万5000人を超えるとの分析を報じた。
志願兵の採用
ショイグ氏は6月、ウクライナ侵攻におよそ70万人の兵士が参加していると明らかにした。ロシア国防省は兵士の損失を減らすため、志願兵である契約兵を採用して武装能力を確保しようとしている。
契約兵の一時金
ロシア情報局によると、クリースク州に接するベルゴロド州は10月、契約兵に支払う一時金260万ルーブル(約360万円)とする原案が通過の見込みだ。
増援の派遣
さらに先月、ウクライナでの戦闘に1万7000人程度の兵士を派遣したとされる。
北極圏での増員
ロシア軍は増援を派遣する一方で、北極圏のヤマロ・ネネツ自治管区などでも増員が相次いでいる。首都モスクワのスプランジ市長は7月、契約兵の一時金として190万ルーブルを支払うと発表した。
一時金の支給方法
一時金は連邦政府からの支給額に各地の担当が上乗せして支払う形で、県などの連邦構成体が上乗せして支払うケースが見られる。