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乳がんサバイバー「二次がん」発症リスク増の可能性 | ヘルスデイニュース

2024-11-19

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乳がんサバイバーにおいて、新たに「二次がん」を発症するリスクが高まる可能性があるとの研究結果が、英国ケンブリッジ大学の生物医学部のAntonios Antoniou教授のチームによって示されました。この研究は、2024年4月24日に『The Lancet Regional Health - Europe』に発表されました。

Antoniou教授は、「この研究は、乳がんサバイバーの二次がん発症リスクに関する最も大規模なものである」と述べています。研究は1995年1月1日から2019年12月31日までに初めて乳がんと診断された58,071人の女性と3,562人の男性を対象に行われました。その結果、女性では2倍、男性では55倍のリスクが示されました。特に、40歳未満で乳がんと診断された場合は、二次がんのリスクがさらに高まることがわかりました。

また、過去の研究では、早期の乳がん治療後、がんの再発や新たながんの発生がリスクとして挙げられています。研究によると、乳がん治療後の女性のうち、二次がんを発症する率は86%、白血病の発症率は58%、卵巣がんの発症率は25%に達しています。

注目すべきは、初診時の年齢や治療方法によってリスクが異なることです。50歳以上の女性は、より高い二次がんリスクにさらされていました。この傾向は、遺伝的素因が影響していると考えられており、特にBRCA1/2遺伝子変異を有する場合にはリスクが増大します。

さらに、社会的経済的状況も二次がんリスクに関連しており、経済的困難に直面しているサバイバーの方がリスクが高い傾向があります。これに関して、研究の筆頭著者であるケンブリッジ大学のIsaac Allen氏は、「この研究の結果は、社会的経済的要因が健康に与える影響を明らかにするため、今後の政策形成に重要なデータとなる」と述べています。

この研究結果は、乳がんの早期発見や適切な治療に加えて、サバイバーの健康管理について新たな視点を提供するもので、医療関係者や政策立案者にとって重要な指針となるでしょう。今後の研究により、どのように二次がんリスクを軽減できるかを探求することが期待されています。