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「入社してはけなわない悪質企業」はネットで公表されている… 日本からブラック企業が蔓延の実態可能性企業は選ぶ側から選ばれる側へと変化している

2024-10-06

【前編】ブラック企業が蔓延しない源泉は7つある…日本人が「低賃金」「長時間」「パワハラ」でも働き続けるわけ

ブラック企業を見分けるにはどうすればいいか。ビジネスコンサルタントの新田龍さんは「働き方改革において働く環境の改善に取り組むことは企業の必要要件になった。悪質なブラック企業を公表している」と語る。厚生労働省は、長時間労働など働く基準法違反を繰り返し、改善が見られない悪質な企業を公表している—。 (後編/第2回)

「ブラック企業は避けるべき」も共通認識

「ブラック企業」と呼ばれる言葉が生まれて十余年。この間、新語・流行語大賞に入ったり、ブラック企業を題材とした映画が公開されたり、実際にブラック企業の働きトラブルが世界を騒がせたことなどで多く知られるようになった。

現在はいちいち言語を解説しなくとも、「ブラック企業=働く環境が劣悪で、労働意識も低く、従業員を使い捨てるような悪質企業」という認知が共通している。

ブラック企業を忌避する意識が広く浸透したことや、人手不足が叫ばれる昨今においては、正社員や転職時の選考基準が厳しくなり、「労働環境や経営者・管理職の意識を改めないことに対しては、本当に良い社員を確保することが難しくなる」という共通認識も生まれた。

同時に、労働意識を持ち、コンプライアンスにも配慮しなければ、ビジネス上の取引先としても選ばれなくなり、という環境にもなりつつある。「ブラック企業のままでは生き続けられないということが厳しい」という状態が以前よりも進展しているように感じられる。

「当たり前」が異常だと気づけるように

働く側の視点で見ても、従前であれば「社会で働くとはこういうもので」といった説明だったが、過重労働や組織内外の理不尽な要求を強制的に受け入れさせられた人たちが、「自分が今いる環境は、本当に『ブラック企業』なのではないか?」と疑問を持つようになった。

それにより、あるときの指導が、実は「パワハラ」だったのではないか?「あの時の指導は、実は『パワハラ』だったのでは?」と疑問を持つことが生まれた。

それにより、より良い働き環境の企業に転職したり、権利主張が可能な意識を持つようになってきた。

さらに最近では、労働条件が改善された企業への転職や、権利を主張できる環境の企業に転職したりと、働き方に敏感な人々が増えている傾向にある。