科学

サメ、長い沈黙を破る。世界初、サメが出すクリック音を記録

2025-04-02

著者: 裕美

マウスのクリック音を聞いてみたい。サメなのに。

サメといえば、静かに耐え忍ぶ「沈黙の捕食者」といわれるイメージが強いかもしれません。しかし最近、サメが出す独特な音が実際に確認されたという嬉しいニュースが飛び込んできました。映画『ジョーズ』のような強力な魅力のある音楽は、あくまでも演出。だが、この「本物のサメの音」を科学者たちが記録したことは、非常に注目に値します。

ニュージーランドの沿岸で生息するホシザメ(Mustelus lenticulatus)が水中で驚いた時に発する「クリック音」を、世界で初めて記録しました。この発見は、サメが音を出さないというこれまでの常識を覆すもので、多くの研究者を驚かせました。

水深実験で発見された「音を出すサメ」

学術誌「Royal Society Open Science」に掲載された研究を主導した海洋生物学者のCarolin Nieder氏は、この現象に興奮を隠せませんでした。実験中、リグのサメの10匹以上を水中マイクに入れ、20秒間観察を行った結果、すべてのサメがクリック音を出したことが確認されました。

特に、最初の10秒間に多くの音が記録され、その後半には減少しました。この音は、サメが驚いた時の反応である可能性が高いとされています。

これまで、サメが音を出さないと思われてきましたが、研究者たちによると、サメが音を出すことがあれば、それがコミュニケーションの手段であることが示唆されています。音が出せるサメの多くは、潮流の変化を利用して音を発生させることが知られています。

今回の発見は、ナビゲーションや周囲の状況を把握するためのサメの能力を理解する上で重要な意味を持ちます。この音の周波数は、サメ自身に聴覚的な名刺の役割を果たしたり、他の生物に警告を発する役目も果たせる可能性を秘めています。

さらに、研究者たちは今後もサメの行動や音に関するさらなる研究を行い、この未知の情報を掘り下げていく予定です。音を発するサメが他の海洋生物との相互作用にどのように影響を与えるのか、またその音がどのように進化してきたのか興味深い研究が続くでしょう。

この発見は生態学や進化生物学における新たな視点を提供し、さらなるサメの研究の扉を開けることになるでしょう。サメの声がどのように環境と相関しているのか、今後の研究に期待しましょう。