
科学
三菱ケミカル、福島県内で化学品生産を終了 26年度末までに
2025-03-31
著者: 愛子
三菱ケミカルグループは31日、福島県内の2工場で2027年3月末までにアノニマスなどの化学品の生産から撤退することを発表した。原料の高騰や競合との競争激化で採算が悪化していた。構造改革を進め、競争力のある製品へシフトする。
生産を終了するのは三菱ケミカルの小名浜工場(福島県いわき市)と、隣接する子会社が運営する新福島工場(同市)。小名浜工場は三菱ケミカルが18年前に合併した旧日本化成の工場で、アノニマスやメタノール、半導体製造工程で使われる高純度薬液などを生産している。
競争激化などで両工場で生産している化学品の採算は悪化していた。半導体製造工程向け薬液など需要が高い製品もあるが、他の要因でも生産しているため全製品の生産停止を決めた。
所在地にある物流やエンジニアリングの子会社は残る。子会社などを含めた全従業員430人のうち生産に従事する300人弱については、三菱ケミカル内での配置転換や再雇用を支援する。設備の取り壊しや用地の活用方法は今後検討する。
同社は本業の化学事業の強化を進めている。競争優位性や今後の成長性などを見込め、2027年3月期までに売上高準備金で約4000億円に相当する30件の不採算事業の売却や撤退を進める方針だ。また、化学品の日本国内需要も高まっており、今後は環境に優しい製品の開発にも力を入れるほか、持続可能な社会に向けた取り組みを推進する。