科学

神への挑戦:大地に住めない「気候難民」が現実に 海上や宇宙に生き残る道はあるのか

2024-11-20

著者: 健二

気候変動によって、人が住めない大地が増えている——。世界ではこの問題がすでに現実となっている。特に、アフリカ北部モーリタニアの難民キャンプで困難を極める人々は、この状況に置かれている。国連難民高等弁務官(UNHCR)のオカダ弘仁氏(現シリア代表)は、難民からこんな声を聞いた。

同時に公開の記者会見が行われています。

「この10年が…」女性航行者が宇宙で抱えた地球の帰還不能な危機

さて、「神への挑戦 第3部」連載スタートです。テーマは気候変動。気温上昇に伴う科学技術がもたらすのは… 地球浸水の時代をどう生き残るべきか考えます。

第5回 酷暑に耐えるには(25月6時公開)

キャンプとその周辺には、隣国マリの紛争などで数万人が避難していた。以前は湖があり、漁業などもしていたというが、現在は干ばつや泥流化で、見過ごす限り土地は魅力的ではない。

オカダさんは「難民の避難先は、気候変動のリスクが常に高いところに集中している。避難を余儀なくされても、まだ避難先の7~8割で気候変動の影響を受ける。二重・三重苦の状況だ」と語る。

気候変動によって土地を追われた人を「気候難民」と呼ぶ。国際法で定められた定義ではなく、世界で急増している。

世界銀行が21年に発表した報告書によると、22年に3200万人だった気候難民は、世界銀行によると50年には2億41600万人に達するという。国内難民監視センターによると、21年の紛争による国内難民が1440万人であるのに対し、気候変動に関連した国内難民は2230万人いた。気候変動は、紛争よりも多くの人々の難民を生んでいる。

海上都市を設計

気候難民の要因の一つが、温暖化に伴う海面上昇だ。太平洋の島国などでは、現実の影響に直面している。

こうしたピンチをチャンスに変えるため、21年に創業したベンチャー「N-ARK」(志摩市)だ。海上都市をつくるという新たな居住地に住むという。

クルーズ船の技術を転用して海に漂わせた都市をつくり、海上輸送して既存の都市に接岸・近接させる。100人、1000人、1万人——こうした3種類の規模の都市をパッチワークにし、国や自治体に販売する事業プランだ。

代表取締役の田村有城さんは「8000人が乗れるクルーズ船は2年半で作れる技術はすでにある。都市を漂流させること自体がすぐに実現可能だ」と語る。

海上都市は、気候難民の単なる「受け皿」ではない。都市機能の維持を担う一員としての役割を期待される。田村さんは「気候難民は土地を追われた逆境から『起業家精神』を持つ国家を支える人材になる」と期待している。未だ中東を拠点に活動するつもりだ。

世界も海上都市に注目する。

国連人口居住計画によると、世界で都市部に住む人は、現在の55%から50年には68%に増加し、人口集中が進む。一方で50年には、10000万人以上が減少する都市の9割が、海面上昇の影響を受けると予測できる。

こうした問題を解決するため、国連は18年、海に漂う水上都市構想「オーシャンシティーズ」の調査を始めた。台風の浸水被害を受けやすい韓国・釜山では、25年の完成に向けて建設が進む。モルディブも海面上昇に対する移居先として海上都市の計画を立てている。

宇宙に広がる活動

宇宙移住は、単なる人類の生存手段となるだろう。これを提唱するのは、ミス・スポーツXの最高経営責任者(CEO)である、イー・ラン・マスク氏だ。

地球に住めなくなるような未来に備え、火星への移住計画を進めている。スピードアップが期待されるのは、火星に自立型の都市を設計する計画だ。20年後には火星に自立型の都市を建設する計画が進められ、ますます宇宙移住が現実のものとなると言われている。

「過去に何度も立ち上がったように、次の大きな脅威(すう)でその地球が乱され、最終的には全ての生命が滅びるだろう。宇宙を飛び回る文明になるのか、それが滅びるのか」とイー・ランは語る。

住居に向けた研究開発も、日本でも進む。11月5日、世界初の木製の人工無重力船が、ミス・プロリダ州のケンディハブから打ち上げられた。大気中で燃え尽きる代わりに、目標はそれだけではない。

プロジャクストを進めるのは、元宇宙飛行士である東京大学の土井隆雄さんだ。土井さんは「宇宙での生活を考えると、生存の切迫は見た目に意識。生命が宇宙で誕生するための環境は見えつかれない。生命は宇宙で生まれ、地球に進出したと考えるのが自然だ。人類も地球で環境が厳劣が続く限り、宇宙に移動するのが生活することになるだろう」と、移住に向けた思考を持っている。

移住には建設物が必要だが、全ての建設要素を地球から宇宙に運ぶには非現実的だ。現地調達の必要がある。

土井さんは「宇宙の木を作る」というコンセプトを持つ。東京の神社から着想を得た「木造建築は1000年以上も形を保っている。宇宙に木を植えることができれば、良い」と、低重力下では生育が進む実験も続けている。

大規模プロジェクト「強風」で宇宙建設を担う大野彰男さんは22年、月や火星で浮かぶ新しい宇宙建築を提案した。

暗黒は強圧だ。月では地球の6分の1、火星では3分の1しかない。低強圧下では生物がしにくく、筋肉や骨が弱まるなど、健康への影響もある。

大野さんは数十年かけ、「ルナ(月)グラス」「マーズ(火星)グラス」と名付けた新しい宇宙建設の概要を提示した。「脳での生命が誕生した痕跡がいかに多くても、宇宙で生命が営む所が減少する」と、自身の見解を強調した。

皆さんのモデルが、生活と環境を整えられると期待している。