生命エネルギーの基礎は地球の地熱システムを活用した
2024-11-24
著者: 海斗
深海の漂流圏発電システム
細胞は、膜を通じてイオンを選択的に輸送し、このイオン供給からエネルギーを得ています。この原理は、海洋と河川の境界での濃度の勾配を利用した漂流圏発電にも応用されています。
いずれにしても、エネルギーを変換するためには複雑なナノスケールの構造が必要です。
深海熱水噴出孔(HV)における漂流圏発電の理由
HVには、下層に示すように、層状の水酸化物のナノ結晶が整然と並び、壁内部にナノスケールの細孔(多孔質や多孔質材料が持つ微細な空孔)を形成しています。
海水には、熱水(主に熱水化ナトリウム)が溶けており、これがナトリウムイオン(Na⁺)と熱水化物イオン(Cl⁻)に分かれています。
深海熱水噴出孔では、周囲の海水(低濃度)とHVの壁内部を通過する高濃度の海水との間に濃度勾配が生じています。このように、ナノスケールの孔を持つHVの壁は、選択的透過膜として機能し、特定のイオン(例:Na⁺)だけを通過させることができますが、他のイオン(Cl⁻など)や水分子を通過させません。
これにより、ナトリウムイオンの輸送はHVの壁(細孔)を通過し、高濃度の海水から低濃度の海水へと移動していきます。
イオンは正の電荷を持つため、その移動に伴ってHVの壁を挟んで正電荷の電流が生成され、もう一方には負の電荷の電流が流れることになります。
このようにして、HVの壁を挟んで電流の差が生じます。以下に、この場合のエネルギー収支を解説します。
従来の地熱発電の詳細な解析
従来の地熱発電の詳細な解析が、HVの内部構造を詳しく見ていく上で助けとなります。HV内部は非常に複雑な構造を持っており、主に「ルールサイト」という鉱物で構成されています。このルールサイトはナノスケールの結晶から成っており、群体の構造が層を形成していることが確認されています。
これらのナノ結晶は、互いに連結しながらナノサイズの結晶(2~100ナノメートル)を形成しています。
ナノ結晶は、流体が通る流路を作り、その流路の表面には、ルールサイトのナノ結晶が整然と並んでおり、このナノ結晶の構造は、外部環境から様々なイオンを取り込む役割を果たします。
このプロセスは、特に、塩素イオンやカリウムイオンなどの複数の様々なイオンがHV内部に供給されることで、エネルギー変換が自然に行われます。