科学

「世界一強力なX線レーザー」が1000兆円以上の大規模アップグレード

2024-10-03

世界一強力と言われるX線自由電子レーザーの新たな大規模アップグレードが、ついに米エネルギー省のSLAC国立加速器研究所で実現しました。この施設により、より詳細な観測や測定が可能になり、今後の科学研究に大きな影響を与えると期待されています。

この新技術により、極小のスケールでの世界のあらゆる面を観測する期待が高まっており、あらゆる研究分野において新たな研究手法が展開されるでしょう。

世界最強のX線レーザー

世界最強のX線レーザーとは、カリフォルニア州のSLAC国立加速器研究所にあるSLACで行われるもので、リニアッククラッシフィケーションの光源(LCLS)と呼ばれる装置です。このリニアック光源は、SLACの加速器施設を利用して、電子を光速近くまで加速し、X線を生成します。

新たに導入されるLCLS-IIは、以前の25000倍のX線パルスを生み出すことができ、これにより科学者たちはより詳細な観測にアクセスできるようになります。この装置の完成により、1秒あたりのX線パルスの生成数が1024万を超え、全世界での研究活動が加速される見込みです。

さらに、LCLS-II-HEは、8台の超伝導加速器を用いて、さらなる加速性能の向上を目指しています。この新しいクライオモジュールの設置によって、加速器の出力性能が向上し、577メガ電子ボルトから最大9ギガ電子ボルトに至る高エネルギーのビームが生成されます。

このプロジェクトによってもたらされる科学的な発展は、材料科学、生物学、化学などさまざまな分野に多大な影響を与えることが見込まれています。新しいX線レーザーの登場により、細胞内の動きや化学反応をリアルタイムで追跡することが可能となり、医療や環境科学などでの応用が期待されています。

数年内に実用化が予測されているこのLCLS-II-HEは、2027年から観測を開始することが見込まれており、その先進的な技術によって新しい科学の可能性が広がるでしょう。これにより、私たちの知られざる世界や宇宙の深淵を解明する手助けとなることが期待されています。