科学

水が「超酸」として進化する驚異の条件とは?

2025-04-01

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フランスのソルボンヌ大学とイタリアの国家理論物理学センターの研究者たちが発表した論文「水は極限熱力学条件下で超酸である」は、特定の高温・高圧下で水が「超酸」と呼ばれる非常に強力な酸に変化することを示しています。この超酸は、通常の強酸に比べてはるかに強力な酸性を持つため、化学反応において非常に重要な役割を果たす可能性があります。

この研究によると、超酸状態の水は約3000K(約2727℃)の温度と22~69GPa(1GPa=10^9Pa)といった非常に高い圧力下で生成されることができるわけです。このような過酷な条件が自然界で存在するのは、例えば木星や海王星といった巨大ガス惑星内部の水分子の状態を考えると、非常に興味深いことです。

研究チームは、分子動力学シミュレーションという手法を用いて、この超酸の生成過程を明らかにしました。シミュレーションの結果、超酸環境下では、異常な変化が起こることが確認され、例えば、CH5+という中間体が生成され、さらに高反応性のCH3+が形成されることがわかりました。この結果、周囲の分子との反応性が高まり、従来の酸とは異なる複雑な化学挙動が引き起こされます。

この発見は、宇宙化学や地球外生命探査に新しい視点を与えるものです。将来的には、超酸環境下での反応が生命の起源にどのように寄与するか、または他の天体での生命探査の可能性を探る手がかりになるかもしれません。

さらに、この現象が説明する「ダイアモンドの雨」が存在する現象も注目されています。これは、木星や土星のような巨大惑星の内部で、水分子が高圧環境下で炭素を含む物質と反応し、ダイアモンドが形成されるという理論です。このような科学的知見は、今後の材料科学や化学工業の発展にも寄与することでしょう。

この新たな水の性質の発見は、ただの科学のトピックでなく、宇宙の神秘を解き明かす鍵でもあり、将来的な研究の進展に期待が寄せられています。