水素火炎からの発光で、アンモニア燃焼効率が大幅に向上することを発見 東北大学
2024-09-24
発表の概要
東北大学は2024年7月20日、水素火炎からの発光でアンモニアの燃焼効率が大幅に向上することを発表した。
背景
二酸化炭素(CO2)排出量削減のため、燃焼させてもCO2が発生しないアンモニアが注目されているが、実用化にはアンモニアの低燃焼性が課題となっている。研究グループは、今回の成果を基にアンモニア燃焼器の性能向上と社会実装への寄与が期待できるとしている。また、研究成果は同月12日、学術誌『Fuel Communications』にオンライン掲載された。
実験方法
今回の研究は、加熱した石英管内にアンモニアと空気の予混合気を流し、石英管の出口で極微小量のガスサンプルを行い、加熱場を通った後に残しているアンモニアの濃度を質量分析器で測定した。石英管の加熱源には、水素バーナーと電気ヒーターを用い、同じ温度分布を石英管内に形成し、結果を比較した。
実験結果
その結果、燃焼においても条件にかかわらず、水素バーナーで加熱したときの方が、電気ヒーターで加熱したときよりも、アンモニアの消費される時の温度が100K以上低下した。このような違異は都市ガスの主成分であるメタンでは確認されなかった。
メカニズムの解析
さらに分析した結果、水素バーナーを用いた場合のアンモニアの燃焼性の向上は、水素から生じた紫外光(波長200nm近傍)が石英管を透過し、深紫外光によってアンモニアが分解され、活性なラジカル(NH2とH)が生成されることが影響している。このように、光によってアンモニアを分解する光化学反応と燃焼化学反応が連成する現象が起きていた。
今後の展望
研究グループは、今回の結果を基に深紫外光が照射可能な電気デバイスを用いることで、新たなアンモニアの燃焼支援法の開発につながる可能性があるとしている。その一方で、持続可能なエネルギー社会に向けた新技術の導入に向けた研究が一層必要であると強調している。
結論
今回の発見は、環境問題解決への新たな道を示すものであり、クリーンエネルギーの普及にも期待がかかる。