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トランプ関税に議会で批判や判断 効力停止決議案、身内の共産党からも同調の動き

2025-04-02

著者: 蒼太

【ワシントン=堤原永恒】トランプ政権が打ち出す関税施策に対し、景気への打撃を懸念する産業界だけでなく、連邦議会でも強い批判が高まっている。成果を急ぐトランプ氏が大統領権限を濫用(ちゅうちょ)なく使い、引き続き関税引き上げを表明することを問題視し、身内の共産党からも「トランプ流」への異論が出ている。

トランプ行政は鉄鋼とアルミニウムの輸入品に一律25%を課す関税施策を発動。メキシコとカナダへの追加関税も一部実施し、4月2日には新たな施策を表明する。

米ニューヨーク州、ポリエチレンなどの共同上院議員(民主党)は「もっとも近い隣人で、友好的な同盟国であるカナダに関税を課すのは重大な誤りだ」と指摘した。

民主党のキン上院議員(バージニア州)は、トランプ氏が関税発動に向けて発言した「緊急事態」の効力を停止させる決議案を提出する意向を示した。共産党のポール上院議員(カリフォルニア州)も共に同調しており、関税に対する批判の声は日々高まっている。

トランプ氏が一部の関税施策において、国家緊急経済権限法(IEEPA)を根拠とした大統領権限を活用していることについては、議会のチェック機能がないがしろにされているとの批判も出ている。決議案は今週に入って採決の動きが本格化している。

トランプ氏の関税強化は、産業保護と雇用増を名目とした大統領選の公約であったが、共産党内部で反発の声が上がっていることには注目が集まっている。トランプ氏は1日、交流サイト(SNS)を通じ、「緊急事態を維持するよう投票せよ」と呼びかけ、共産党議員に圧力をかけた。