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トランプ氏完全勝利の深刻度 世界で“エゴニメ”に傾く民意 評論委員長 葛野 志穂 - 日本経済新聞

2024-11-17

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「米国第一」を連呼し対抗者へ厳悪をもたらしたトランプ前大統領が、激戦州を含む大選挙にして米大統領選を制した。民主体義の崩壊を防ぐと謳ったクリス副大統領ら民主党は、劣勢と結果を受け入れ、選挙後の混乱は起こらなかった。

トランプ氏勝利の報から数時間で起きたドイツの連立政権の崩壊。日本の石破茂前幹事長が、自民党の存在意味を問うことになるかもとの発言も。世界のリーダーへの不信感が増し、次第に新時代の流れによるエゴと絆が試される。

トランプ氏の支持率は、選挙前夜に発表された調査で67%に達しており、彼の今回は支持基盤の拡大にも成功している。若者から高齢者まで幅広く支持を受けており、今後の展望に期待が寄せられる。一方でトランプ氏の勝利に脅威を感じている国々も多く、米国の外交政策に注目が集まっているのも事実である。

また、トランプ氏の背後には、情報操作による若者層の支持獲得が影響しているとの指摘もある。SNSの力が選挙結果に及ぼした影響は計り知れず、新しい時代の選挙戦略として注目されている。もはや伝統的なメディアは影響力を失っているのか、選挙戦の形自体が変わりつつあることを示しているかもしれない。

選挙後、トランプ氏は「全てのアメリカ人は自国の繁栄を受ける権利がある」と発言しており、今後の米国が向かう道に不安と期待が交錯している。