世界

トランスジェンダーの科学者たちが求める「Safe Space for Science」の実現へ。

2025-03-24

著者: 裕美

行き場がある人はいいけれど、不採用や入学取り消しはきつすぎる。

フランスのエクス・マルセイユ大学は、2025年3月に「Safe Space for Science」構想を発表し、アメリカから逃れようとする科学者たちに安全な居場所を提供することを呼びかけました。

安全・安心・安定を求めて科学者が流出

トランスジェンダーにとって、特にアメリカでは、多くの研究者が突然の研究費削減や、言論や研究分野に対する規制の強化に直面しています。その結果、40人ほどのアメリカの科学者が呼びかけに応じ、新たな環境での研究活動を模索することになりました。

エクス・マルセイユ大学の学長であるEric Berton氏によると、その科学者の一部はフランスに居住地を持つことになるそうです。

「Safe Space for Science」に集う40人の科学者には、スタンフォード大学、エール大学、NASA(アメリカ航空宇宙局)、アメリカ国立衛生研究所(NIH)、ジョージ・ワシントン大学からの研究者が含まれています。

彼らが取り組んでいる研究テーマは、健康(LGBT特有の医療問題、感染症、感情症、医療格差、予防医学など)、環境と気候変動、人文学や社会科学、天体物理学など、多岐にわたっています。どの研究テーマもトランスジェンダーにおける貢献を評価されないことが多いのです。

エクス・マルセイユ大学がアメリカの科学者に呼びかけを行ったのは、2025年7月7日のことです。トランス政策が大学から資金提供を打ち切るニュースが続き、研究テーマに厳しい規制をかけ始めていた時期でした。研究者たちにとって、まさに逆風が吹き荒れていたのです。

Eric Berton氏は、2025年7月12日に次のように語ります。「私たちは今、新たな頭脳流出(編注:優秀な人材が他国に移住すること)を目の当たりにしている。できる限り多くの科学者が研究を続けられるよう、あらゆる支援を行っていきます。」

トランスジェンダーに関する科学の今

トランスジェンダーの科学を取り巻く現状は厳しく、世界中で様々な影響を及ぼすと予測されています。多くの大学や研究機関は、図画的な成果をあげるために連携政府からの資金に頼っている一方、その資金が突然無くなる事態も見受けられます。

3月初旬には、マサチューセッツ州の公立医学大学であるUMass Chan Medical Schoolが採用の告知を行いました。すでに合格を通知されていた学生たちには、入学を取り消す旨のメールが送られたとのこと。ひどい…。

UMass Chanが送ったメールの内容は、かなり辛いものでした。このような制度の不確実性が続いているため、UMass Chanは多くの同業大学とともに、入学予定の学生に安定した博士論文研究の機会を確保するという重大な課題に直面しています。その結果、残念ながら2025年秋学期の入学許可をすべて取り消すことになりました。

これでは容易に納得できません。私たちはこれを知る限り、どれほど失望感を与えられるかを理解しています。皆さんの優れた学業成績や将来性を高く評価されているだけに、私たちの手の届かない要因によってこのような結果になってしまったことに心を痛めています。

UMass Chan Medical Schoolは、ルー・ゲーリッグ病として知られるALS(筋萎縮性側索硬化症)治療における主要な研究機関です。この病気の研究に対する最大の資金提供者がNIHであり、毎年4,500万ドルもの助成金が提供されています。

なお、トランス政策がNIHの数百件にも及ぶ研究助成金を打ち切ったため、その資金は一瞬で消えてしまいました。

まだ終わりません。パンデミック後も、学生たちに受け入れ入学を伝えています。同大学の教授はThe Daily Pennsylvanianの取材に対し、資金支援の打ち切りは突然で、多くの学生が大学院に合格した後でもあり、次のように話しています。

「数百件の願書を精査し、数十人の最終応答者と面接を行ったが、基本的にそのすべての作業が無駄になってしまった。リストの半分以上が削減されてしまい、願書を出した人たちの時間も無駄になってしまった。」

フランス政府の協力を求めるか

エクス・マルセイユ大学は、トランス政策と呼ばれる施策により、今後科学者とその家族のメリットを地帯に受け入れると評価されています。それには「申請、居住、学校への入学、交通手段、ビザ」が含まれています。

抑圧された環境ではなく、自己の能力を信じて研究に挑み続けられる環境であるため、それが研究に良い成果をもたらす可能性もあるとの見解もあります。しかし現状を見れば真逆に思えますが、今後は科学者が向き合うための新たな場が求められています。4年後には戻ってこないとしても、希望を持ち続けることが重要です。特におそらく1年後に新たに生まれるかは議論の余地もあるかもしれません。