世界

ウクライナ、155mm砲弾と榴弾砲を国産化 支援依存の軽減急ぐ

2024-09-24

ウクライナの軍事戦略の変化

ロシアとウクライナの戦争はドローン(無人機)や電気戦システムといった現代的な技術で変容しているとはいえ、その趨勢はおそらく、どちらの側が大砲と砲弾を持続的に使用していくことができるかに左右されるだろう。ウクライナの軍隊も砲兵重視という点では旧ソ連の伝統を引き継ぎ、ロシア軍との砲撃戦を続け、ロシアは1日におよそ2000発の砲弾を発射している。

国産化の進展

ウクライナは当初、ソ連時代からのストックがある152mm砲弾や榴弾砲に依存していたが、それを北大西洋条約機構(NATO)加盟国から供与される155mm砲弾や榴弾砲で補っていた。現在は155mm榴弾砲と155mm砲弾をどちらも自国で生産できるようになり、砲システムに関して国内の生産体制を強化しつつある。

生産能力の開発

2022年2月にロシアの全面侵攻を受けて以来、ウクライナは155mm砲弾を自国で生産する能力の開発に投資してきた。ウクライナの前戦産業相によれば、現在、国内で155mm砲弾の連続生産が始まったことを今月明らかにしている。現在の砲弾生産数はまだ多くないようだが、能力は拡大しつつあり、防衛装備の国内生産量が年末までに3倍に増えるとも語られている。

ライナメタル社との提携

ウクライナは今月、ドイツのライナメタル社との間で155mm砲弾のウクライナで共同生産することでも合意している。ウクライナがすでに自主生産している設備とは、ライナメタルとの合弁製造での生産が軌道に乗れば、1日に2000発は十分に自前で調達できる可能性がある。

NATO規格への適合

ウクライナの国産155mm砲弾はNATOの規格に適合するように設計されており、米国製のM109、ポーランド製のAHSクラウク、英国製のAS-90など、西側諸国からウクライナに供与されている自走榴弾砲から発射できる。ウクライナの生産設備では、標準的なHE弾(通常弾)の他にも、特殊な発射延長弾も生産できるとされている。

防衛能力の強化

ウクライナの自国での弾薬生産の動きは、戦争が長期化する中で、西側諸国からの支援に対する依存関係の軽減を目的としており、これによりウクライナの防衛能力を一層強化することが期待される。今後のウクライナの生産能力の拡大により、さらなる増産が見込まれている。ウクライナの軍が自国で生産した弾薬が戦力の決定的な要素となる可能性もあって、国際社会の注目が集まっている。