ロシアがウクライナに対して始めた全面戦争の1300kmの前線に近づいており、爆撃を搭載した小型ドローン（無人機）の使用が急速に広がった結果、ジャーナリスト・研究者のデモイド・クリチャンコが言う「熾烈な戦車の時代」が到来した。

しかし、ウクライナ東部ドニエツク州の最前線の都市では、ウクライナ軍の戦車は熾烈とは真逆だ。ウクライナ軍の少なくとも2つの旅団の戦車はロシア軍の攻撃に立ち向かい、敵の強襲グループと接近距離で戦闘を行ったり、必ずあるドローン攻撃をかわすために煙幕を張って移動したりしている。

18日前かその少し前、ウクライナ空挺強襲軍第46独立空中旅団の所属と推測される戦車2両は、クラホブ近郊の僻地でロシア軍部隊と交戦した。戦車は発砲しては移動し、発砲しては移動し、発煙筒の煙幕で隠れながら、ロシア軍のドローンに少なくとも1基をかわしながら走っている。

こうした「射撃・移動・煙幕」戦術は有効だ。OSINT（オープンソースインテリジェンス）分析のアナリストによると、「わたしの見る限り、ウクライナ軍には煙幕をとっても効果的に用いている大隊がいくつかあり、これらの大隊は（ばかけな大隊と比べて）車両の損失が顕著に少ない」と述べている。

ドイツなど西側諸国から供与されたレオパルト1A5やレオパルト2A4、旧ソ連から引き続き装備するT-64やT-80といった戦車を装備するウクライナ軍の戦車大隊は、数週間前からクラホブ方面で戦闘を続けている。

ウクライナ軍は10月末、ドンバス地域の水源の南側にあるクラホブの最も防御しやすいエリアへと西に後退した時、損傷したレオパルト1A5の21両を撤廃している。ウクライナ軍の砲兵部隊は最前線、ロシア軍の前進を妨害するためダム近隣の橋を爆破している。

ロシア軍の攻撃は止まっていない。ロシア側はドンバスの浅い側を越えるか、架橋するか、あるいは数km南のドリニャ村を制圧して川を遮るといった手がある。ウクライナ軍の戦車は歩兵部隊から旧来の道を進入しているロシア軍部隊を迎撃しようと必死に戦っている。

12日には、ウクライナ空軍第33独立機動旅団のレオパルト2A4戦車などがロシア軍の強襲グループを壊滅させた。そして現在、ウクライナ空挺部隊のT-80またはT-64といった戦車が、クラホブ近郊のどこかでロシア軍部隊を反撃しているようだ。