科学

小彗星リュグルの岩から得られた結晶 京大などの研究チームが発表 | 毎日新聞

2024-11-23

著者: 芽依

探査機はやぶさ2が小彗星リュグルから持ち帰った試料から得られた結晶を見つけたと、京大や東北大などの研究チームが国内学術誌に発表した。この研究チームは、天体の水や物質物性に関わる有機物の進化を考える上で重要な成果になるとしている。

研究チームはリュグルの岩を電子顕微鏡などで観察し、表面に最大で長さ4500マイクロメートル、幅20マイクロメートル、厚さ1マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)の結晶4つを発見した。結晶は岩塊の中、ナトリウム塩、ナトリウム硫酸塩で構成されていた。岩の結晶は電子線に弱く、観測中に消失してしまうため微細な電子線の電子線を弱めるなどして観測に成功した。

これまでの研究では46億年前、リュグルの母天体には大量の塩水が存在していたと推定されている。しかし、塩水がどのように消失したのかは分かっていなかった。結晶は塩水の塩分濃度が高い環境で生成されるため、母天体の水は蒸発や沈殿によって消失したと考えられる。

また、結晶は火星と木星の間にある準彗星セレスタスや、土星の衛星エンケラドスの地下に存在する海水の塩分と構成が似ていることが明らかになった。京大大白髪センターの森本特任准教授(地球外物質学)は「太陽系の海があるような環境での有機物の進化を考える上で重要な成果だ」と述べた。