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小さい日本のEV市場で勝負を挑むBYD、「ありがたい」の声を広げるために試行錯誤を続ける販売戦略の“信念”

2024-10-03

2023年、日本の乗用車市場に参入し、2024年6月に中型セダン「シール」を発売し、参入時に販売を宣言した3モデルが話題となったのは、中国の電気自動車(EV)最大手、比亜迪(BYD)だ。しかし、日本での販売台数は今や741〜8月の累計で1591台、前年比で74200台と道路に乗るには程遠い状況だ。果たして今後どのように攻勢をかけるのか。BYDの日本での乗用車販売を手掛けるBYD Auto Japan代表取締役社長の東福寺濃樹氏に話を聞いた。

国内自動車市場は高価格帯の低コスト車の充実を求められており、これがBYDの狙いである。2023年初頭にBYDが日本でEVの販売を開始してから1年半余りが経った。順調なことやそうでないこと、いろいろあったと思います。

東福寺氏(以下敬称略)によれば、販売開始から今年の8月までの登録台数は70400台です。日本へのラウンド導入が徐々に始まったという難しさはありましたが、それを考慮してももう少し増やせたかというのが正直なところです。

影響が大きかったのは、制度変更に伴う助成金の削減です。「ATTO3」(アットスリー、コンパクトSUV)は型式認証を取得し、一時は助成金額85万円が認められていました。「ドルフィン」(コンパクトクーペ)もPHP認証が65万円が認められていましたが、今や744月に11車ともに35万円になってしまっています。その結果、4〜6月の販売台数は前年割れの水準に落ち込みました。

昨年の同時期はATTO3だけでしたが、今年は低価格のドルフィンが加わっていたことで判断するに、前年割れは厳しかったですね。

東福寺の販売現場の意気込みも少なからず感じられたが、今は少し元気を取り戻してきた。その原動力になっているのは6月に発売した「シール」(中型クラスのセダン)です。

昨年の販売を予告したのを見て、それを待っていたお客さまが少なからずいて、来客、成約とも伸びていると言われています。今の良い空気を何とか維持し、今年を締めくくり、来年の導入を予定している新製品で勢いを増せればと思っています。

EV市場が非常に小さい日本市場の特性を考えれば、次に日本に導入するのはどのようなモデルですか。

BYD具体的な製品計画についてはまだお答えできませんが、一般リリースしたシールが高い評価を得たこともあり、ハイスペック、ハイクオリティな製品を提供するランドであると認識されれば、低価格帯車を出した時にああいうランドが出てきたら優れた部分があるだろうという見方をしている。

BYDはOTA(オーバー・ザ・エア)アップデートによって各モデルに実装しているので、ソフトウェア制御で変更される部分についてはヒットとして流動的なため、ああいう点を ATTO3 やドルフィンなどにも活用することができる。そういうことを間断なく行うことも全体の底上げのために大切だと考えています。

続々と新モデルの投入に期待される中、BYDが今後の販売戦略にどんな策を講じるのか、ファン向けのイベントやキャンペーンも増加していくとみられ、日本のEV市場での存在感をより強めていくことでしょう。BYDの成長に注目が集まります。