
【選抜高校野球】サバンナの注目の好投手たちをリール評価 「大舞台なんばーワン投手は?」
2025-03-31
著者: 陽斗
2025年春の選抜 スカウトの選手評価〜投手編
3月13日、ある場所。隣にいたある球団のスカウトの携帯電話が鳴った。通話を終え、顔色を変えたスカウトがつぶやく。「健大高崎の石井(元気)が好調だとは、センスは無理そうだって。甲子園には彼を見に行くようなものなんだが、これじゃあ、何をしに行くかわからないよ......」
3月18日から行われる第97回選抜高校野球大会。注目度ナンバーワンの150キロ右腕・石井の初戦は、大会初日の第13試合。真冬並みの気温だったこともあり、胃腸を痛めた石井は大事をとって登板せず。試合終了まで残ったスカウト陣は空振りに終わった。
さらに、もう一つの注目投手だった東海大相模の鶴見も、ヒジを痛めたことが判明。ファーストの目玉を失ったスカウトはいつもより慎重になっていた。
その後、幸運なことに石井は回復。短いイニングながら登板し、最速155キロをマークしたが、その投球を生で見たスカウトは少なかった。
通常、各球団とも見極めを行い、全出場校をチェックするが、ドラフト対象選手が少ないため、ある球団のスカウトは途中で予定を変更。近隣地域で行われていた同校の練習試合を視察したり、他校の選手の動きを見たりした。そのだけ現時点ではプロが注目するような選手が少なかった証である。
選抜で155キロをマークした健大高崎・石井元気の関連する写真を見る
【大舞台なんばーワン投手は?】
そんな厳しい状況の中、スカウトが高く評価した投手は誰なのか。
万能ではない状態とはいえ、やはり一番は健大高崎の石井だった。12回戦の増進気比戦の投球はなかなか見ごたえがあった。去年はもっと荒れていた。高めに投げて、これを修正できなければ終わる可能性もあった。それが今回は見違えるように向上してきた。すでに強度を出せていて、それをできなければ怖いという印象だ。これが今年はもしかしたらデビュー戦と言うか、初戦で見せつけてくれるかもしれない。
「たった5球だったけど、それなりに見れるようになってきた。去年はもっと荒れ気味だったから、どうにもならなかった。ただ今年は確実に期待以上の進化があった」と別のスカウトも感想を述べている。
その一方で、昨年夏はたったの10投球だったが、今年は力強さを見せている模様。それだけで見ても評価が高いのに、「過去の経験を活かしている印象がある。コンディションも良好。甲子園で見せるのが楽しみだ」と流石スカウト達が口を揃えていた。
総じてみても今年の選抜はスカウトたちが楽しみにしているイベントの一つだ。甲子園という舞台で揺さぶり掛けてくる選手たちを見極めて、より良いスカウト活動を行おうと入念に準備を進められている。